2023年12月18日月曜日

人間一生胸算用 その28

P11P12 国立国会図書館蔵

P11

(読み)

「さて

 さて


ミ奈\/

みなみな


のそミの

のぞみの


まゝ尓

ままに


心  を於ひ出し

こころをおいだし


心  こゝ尓

こころここに


あらされハ

あらざれば


者゛んとうの

ば んとうの


氣ハ多れ

きはだれ


者ゝ可ら須゛きまゝ

はばからず きまま


をしてつい尓

をしてついに


無次郎 可゛から多゛を

むじろうが からだ を


於う里やうし个れハ

おうりょうしければ


是より無状(むじや)

これより  むじゃ


無象國(むざうこく)大 キ尓ミ多゛れ个る

    むぞうこく おおきにみだ れける


「氣可゛いふ本ん尓

 きが いうほんに


口 尓も久 しく

くちにもひさしく


土用 可゛入 るまひ

どようが はいるまい


いつでもかんの内 多゛らふ

いつでもかんのうちだ ろう

(大意)

 さて、皆々、望んだ通りに心を追い出し、心は浮かれ気味である。

番頭の氣は誰はばからず気ままにすごし、とうとう無次郎の体を乗っ取ったため、このときより無状無象国は大いに乱れた。

「氣がいう。ほんに、口も久しく土用の鰻も食っていなかろう。これからはいつでも寒の内だろうよ。

(補足)

 斜めの波線はいわば回り舞台。

「久しく」、最初「可へ」と読んでしまいました。

「寒の内」、寒の内(1月5日〜2月2,3日頃)には寒さをしのぐために魚肉累を積極的に食べた、とありました。

 

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