表紙 国立国会図書館蔵
(読み)
祢づミの嫁 入
よめいり
(大意)
略
(補足)
明治15年7月11日御届。銅版摺りの豆本です。当時の画工彫師摺師はあっという間に西洋の銅版の技法をマスターしてしまいました。木版のときには旧来日本の伝統であった余白を重んじたものでしたが、最新の銅版技法を得てからというもの余白などどこ吹く風、隙間なく隅から隅まで何かを彫らないことには気がすまないというほどの彫り込みようになってしまいました。かれらが喜々として銅版を削ってゆくさまが目に浮かびます。
お酌をする姉さんの眼はあっちを向いてこっちを向いてと歌舞伎のにらみのよう。手にする酒器の点々のがらはまさか鼠の足跡の意匠では、なんていうことはないでしょうね。美男子のおおきな皿には酒が波打つ模様まで描かれています。
背景の小さな家々を拡大してみると、窓も屋根も手抜きなどするものかと細かく刻み、これだけ描き込んでもまだ気がすまない気配があふれています。
明治赤を使ってはいますが、どこか押さえ気味。むしろ黒羽織や着物の黒の縦縞など従来の日本の渋さが目立っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿