2024年5月6日月曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その40

P15 国文学研究資料館蔵

(読み)

ある人 さけ丹ゑい

あるひとさけにえい


ひよろ\/ 志奈可゛ら

ひょろひょろしなが ら


川 者多をとふりふみ者川゛

かわばたをとうりふみはず


して川 へ者まり命  あや

してかわへはまりいのちあや


うくミへ多るところに

うくみえたるところに


おりよくとん\/とうがら

おりよくとんとんとうがら


しうりとふり可ゝりあ

しうりとおりかかりあ


やう起命  をひろい阿

やうきいのちをひろいあ


けるからき命  をひらう

げるからきいのちをひろう


といふことハこのと起

ということはこのとき


よりぞ者じまり个る

よりぞはじまりける

(大意)

 ある人酒に酔い、ふらふらしながら川端を通り、踏み外して川へはまり、命が危なかったところへ、ちょうどとんと唐辛子売りが通りかかり、危なかった命を拾い上げた。辛き命を拾うとは、まさにこのときより始まったのである。

(補足)

「さけ丹ゑい」、この変体仮名「丹」(に)もよく出てきます。『えい ゑひ 【酔ひ】

酔うこと。よい。「皆―になりて」〈源氏物語•行幸〉』

「川者多をとふり」「とうがらし」、ここの「と」は他の「と」はかたちがことなっています。唐辛子売の着物の柄にもこのかたちの「と」が使われています。

「ふみ者川゛して」、ほとんどが「ミ」ですが、たまに平仮名「み」も出現。

 唐辛子売はほんとうに色鮮やか真っ赤なハリボテのでっかい唐辛子をかついで、売り歩いていたのだから、なんとも斬新であります。

 

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