P11P12 国文学研究資料館蔵
P12
(読み)
「い多をけづゝ多可ん奈く春゛ハま多゛
いたをけずったかんなくず はまだ
多起つけ尓でも奈る可゛命 を
たきつけにでもなるが いのちを
け川゛ゝ多るかん奈く川゛ハ多ゞ
けず ったるかんなくず はただ
おいしやさ満のやく多゛以と
おいしゃさまのやくだ いと
奈るのミなり
なるのみなり
「けづれ命(めい)
けずれ めし
春うハさま
すうはさま
\゛/尓ある
ざま にある
可゛奈可尓も王
が なかにもわ
づ可のいのち
ずかのいのち
多゛まゝの
だ ままの
川 \/
かわままのかわ
女 で命 をけづる
おんなでいのちをけずる
(大意)
「板を削った鉋屑はまだ焚き付けにでもなるが、命を削った鉋屑は、ただ、お医者様の薬代となるのみである。
「削った命の数(寿命のこと)はさまざまにあるが、中でもわずかの命だ、儘(まま)の川、ままのかわ。
(補足)
「い多を」、変体仮名「多」が上下にはさまれてつぶれてしまって、「い多」で一文字のようにみえます。
「まゝの川」、『儘の川、地唄』。命はいろいろ工夫しても長い短いはわからない、そのままにうけいれるのがよさそうだ、はかないものなのだよ。とでもいう意味か。
こたつの奥には、盆栽風のものが二鉢あって、ひとつは果実のようなものがなっています。こたつに入る時期に実のなるものは?柑橘類でしょうか。こたつの覆いの模様はきんとん雲か。命を鉋で削るそばには曲尺もあります。火鉢もものがよさそうでその下には煙草入れ。雪見行灯のつくりも丁寧に(ちゃんと手提げまで細い黒い線で)描いています。でも、小さい雪見障子を上にあげてあるのだから、中が描いてあってもよさそうなのに、真っ白。わたしの見立てが間違っているのかも。
とにかく、この部屋のいろいろ、京伝自身の体験から描いた感じがします。
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