2024年5月29日水曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その63

P26 国文学研究資料館蔵

(読み)

[命  可゛もの多゛ね]

 いのちが ものだ ね


いらざることをく尓やんで

いらざることをくにやんで


命  をちゞむべ可らず命  あ川て

いのちをちじむべからずいのちあって


のものだねなり志んで

のものだねなりしんで


者奈ミのさくこと奈し

はなみのさくことなし


金 のつる尓ありつくも

かねのつるにありつくも


金 の奈る木をもと

かねのなるきをもと


めるも奈の多可く

めるもなのたかく


奈る毛志そんの

なるもしそんの


者び古るもミ奈

はびこつもみな


命  可゛奈可゛く奈け

いのちが なが くなけ


れバ多゛いじを

ればだ いじを


奈し可゛多し

なしが たし

(大意)

[命がものだね]

 どうでもよいことを苦にして、命をちじめてはならない。命あっての物種である。死んで花実の咲くことはない。金の蔓(つる)にありつくも、金の成る木を求めるも、名を高めるも、子孫が繁栄するも、どれも命が長くなければ大切なことを成しとげることは難しい。

(補足)

 命の種を植えて大切に育てれば、絵のように金の成る木には小判がたわわに、「高名」もそこそこ伸び、「子孫」の実は西瓜のようにまん丸に大きく育つ。寺子屋で「命が物種」の説明にこの絵を見せれば、みな納得するはずです。

 蔓状に伸びているのは、金蔓(かねづる)、金を工面してくれる人、というくらいだからなのでしょうか?

 

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