2024年5月10日金曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その44

P17P18 国文学研究資料館蔵

P17

(読み)

[命  能せん多く]

 いのちのせんたく


命  といふや川可゛と起\゛/

いのちというやつが ときどき


せん多くせぬとよくあ可本゛ん

せんたくせぬとよくあかぼ ん


のうにけ可゛れてあぶらやの

のうにけが れてあぶらやの


ぞうきんのごとくよごれ

ぞうきんのごとくよごれ


つひ尓ハ命  可゛ねぐさるもの

ついにはいのちが ねぐさるもの


奈り志可しいのちのせん多く

なりしかしいのちのせんたく


もあらひ春ぐせバての可ハ

もあらいすぐせばてのかわ


をすりむき奈以しやう可゛

をすりむきないしょうが


本ころびて志んだ以のぢ

ほころびてしんだいのじ


あい可゛王るく奈る

あいが わるくなる


もの奈れバその

ものなればその


本ど\゛/を可ん可゛へ

ほどほど をかんが え


てせん多く春べし

てせんたくすべし


か奈らずあらひ

かならずあらい


春ぐ春べ可ら須

すぐすべからず

(大意)

 命というやつは、ときどき洗濯をしないと、欲・垢・煩悩にけがれて、油屋の雑巾のように汚れてしまい、ついには命が根腐ってしまう。しかし命の洗濯も洗いすぎれば、手の皮をすりむき、懐具合もさみしくなり、身代の具合も悪くなってしまうものなので、そのほどほどの加減を考え洗濯しなければならない。洗いすぎは厳にしてはならない。

(補足)

「よくあ可本゛んのう」、一読ではなんのことかわからず。わかってしまえば3つの語彙の連続でした。よくあることです。

 吉原の遊女屋の座敷の場面。遊女たちの髷が横に広がり、笄(こうがい)の飾りも派手で、うしろが大髷になっているのは当時の流行であったと、ものの本にありました。

 床の間横の棚に、囲碁一式があります。遊女の嗜みのひとつで、かなりの腕の花魁もいたそうです。

 

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