2024年5月3日金曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その37

P13P14 国文学研究資料館蔵

P14

(読み)

やく王んとミせて本う可ふり

やか んとみせてほうかぶり


む可し能ミ奈らバとのやうに

むかしのみならばどのように


志やうもやうハ

しょうもようは


多つ多川

たつたがわ


高 尾も

たかおも


びく尓も

びくにも


いろの道

いろのみち


ふミまよ

ふみまよ


う多る

うたる


こ以の道

こいのみち


いん可゛王

いんが


じや柳

じゃやなぎ


いと柳

いとやなぎ


つ奈可゛る

つなが る


えんや

えんや


ぬへのを

ぬえのを


のへびを

のへびを


つ可ひて

つかいて


これまで

これまで


もいきの

もいきの


ひ多の可゛と

びたのが と


く王可尓こ

くわかにこ


まん才 三

まんさいぞう


尓おごま

におごま


さん志ま

さんしま


さんこんさ

さんこんさ


ん奈可多ん本一 寸

んなかたんぼいっすん


さ起ハまゝの川

さきはままのかわ


つひの命  の春て所  いさかしこへといそ起゛ゆく

ついのいのちのすてどころいざかしこへといそぎ ゆく

(大意)

薬缶とみせて頬かぶり、昔の身ならばどのように、しょう模様は竜田川、高尾も比丘尼も色の道、踏み迷うたる恋の道、因果じゃ柳いと柳、つながる縁や鵺の尾の、蛇を使いてこれまでも、生き延びたのが徳若に、小万才三にお駒さん、しまさんこんさん中田んぼ、一寸先は儘の川の、終の命の捨て所、いざかしこへと急ぎゆく。

(補足)

「む可し能ミ奈らバとのやうに」、「や」が「か」のようにみえますが、次の行「志やうもやうハ」の「や」と同じかたちです。

 今回の部分の文章も、前回の続きで五七調・七五調。言葉遊びや歌舞伎・浄瑠璃のもじりなどがあふれます。

「こまん才三尓おごまさん」、浄瑠璃「恋娘昔八丈(こいむすめむかしはちじょう)」の主人公、尾花才三郎と城木屋お駒。

「志まさんこんさん奈可多ん本」、伊勢道中歌(伊勢音頭)の「縞さん紺さん中乗りさんさぁーさおかげでな」のもじり。

 

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