2024年5月30日木曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その64

P26 国文学研究資料館蔵

(読み)

「うれしや\/

 うれしやうれしや


お連もことし

おれもことし


八 十  八 尓奈る可゛

はちじゅうはちになるが


金 能つる毛だい

かねのつるもだい


ぶんのび可゛ミへる

ぶんのびが みえる


奈毛ことの本可

なもことのほか


多可くな川ててん

たかくなっててん


じやうへつきぬけそふ多゛

じょうへつきぬけそうだ


しそんも多゛いぶん者びこ川多ハへ

しそんもだ いぶんはびこったわへ


奈る本どいのち可゛もの多゛ね多゛ぞ

なるほどいのちが ものだ ねだ ぞ

(大意)

「うれしやうれしや、おれも今年八十八になるが、金のつるもずいぶんと伸びてきたようだ。名もことのほか高く伸びて、天井へ突き抜けそうだ。子孫もずいぶん伸びて広がったな。なるほど、やはり命が物種だぞ。

(補足)

「お連も」、ここの変体仮名「連」がおもしろいかたち。

「八十八」、米寿でめでたいからこの歳にしたようです。

「だいぶん」、みごとな平仮名「た」。

 この絵そのままを時代をひとっ飛びさせて、現代のどこかの庭にもってきてもなんの違和感もありません。昔も今も命はものだね也。

 

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