P13P14 国文学研究資料館蔵
P13
(読み)
[命 越春て尓ゆく]
いのちをすてにゆく
「此 さくしやハミち
このさくしゃはみち
ゆ起のゆめをミ多
ゆきのゆめをみた
そうでもんくハあ
そうでもんくはあ
多可もねごと
たかもねごと
能ごとく多゛
のごとくだ
「とても王しハ
とてもわしは
春てねバ
すてねば
奈らぬい
ならぬい
のち
のち
所 を
ところを
春て
すて
春゛尓こゝ
ず にここ
可ら内 へ
からうちへ
可へる本ど
かへるほど
尓そ奈多
にそなた
ハあと尓
はあとに
とゞまつ
とどまっ
て春てる
てすてる
ともどう
ともどう
とも志やれ
ともしやれ
「おまへハよい所 へき可゛
おまえはよいところへきが
つき奈春川多命
つきなすったいのち
を春てるさう多゛んハ
をすてるそうだ んは
まあ七 八 十 ねんの者゛
まあしちはちじゅうねんのば
しやしやう
しゃしょう
(大意)
[命を捨てにゆく]
「この作者は、道行きの夢を見たようで、文章はあたかも寝言のごとくだ。
「とはいっても、わたしは捨てねばならぬ命ではあるが、捨てるのはやめてここから戻るから、そなたはここに残って捨てるともどうともしやれ。
「お前はよいところに気がつきなすった。命を捨てる相談は七八十年延ばしましょう。
(補足)
「とても王しハ春てねバ」、変体仮名「春」がくずれていますが、このあとの「所を
春て」の「春て」とまぁまぁ同じかたちです。
「所」のくずし字が二箇所出てきます。最初のは「〜のに、〜だが」、あとのは「場所・箇所を数えるのに用いる。「気に入らぬ所がふた―ある」」。
命の相合い傘、ひとりが傘の柄を持ち相手を思いやるようにかざすものばかりとおもっていましたが、よく見ると男の持ち手の上に女の手が同じように握っています。これが相合い傘の正しい作法なのかと🤔。
男は裸足、女は着物の裾に隠れてますけどきっと裸足。これは道行き、命を捨てるにあたっての作法でありましょう。
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