P27P28 国文学研究資料館蔵
P27
(読み)
人 ハ命 可゛もの多゛年奈れバ
ひとはいのちが ものだ ねなれば
と可く命 可゛奈可゛く奈け
とかくいのちが なが くなけ
れバ多゛いじハ奈し可゛多し
ればだ いじはなしが たし
その命 を奈可゛く春る
そのいのちをなが くする
尓ハよくいのちをやし
にはよくいのちをやし
奈ふ尓志可じ命 を
なうにしかじいのちを
やし奈ふハさうもく
やしなうはそうもく
をやし奈ふ
をやしなう
可゛ごとく
が ごとく
春べしつ年尓せいけん
すねしつねにせいけん
の志よも川の志ろミづ
のしょもつのしろみず
本とけのきやうもんの
ほとけのきょうもんの
せんじ志るを可け天
せんじしるをかけて
(大意)
人は命が物種であるから、まずは何をおいても命が長くなければ、何事も成しとげることは難しい。その命を伸ばすには、よく命を養うしかない。命を養うには、草木を養うのと同じようにするとよい。つねに聖賢(せいけん)の書物の白水(しろみず)・仏(ほとけ)の経文の煎じ汁をかけて、
(補足)
「せいけんの志よも川の志ろミづ」、「聖賢① 聖人と賢人」「白水① 米をといだときに出る,白く濁った水。米のとぎ水。とぎ汁」。
手持ちの桶・盥(たらい)・囲炉裏の鍋に水や湯はなく、あるのはたくさんの書物のみ。変な絵だなと思ったら、これらが聖賢の書物と仏の経文なのでありました。炉端にはこれから鍋に入れる経文があります。その経文の文字まで細かく記してそれっぽくしているところなどこだわりの京伝であります。
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