P27P28 国文学研究資料館蔵
P27
(読み)
里よくのあぶらむし
りよくのあぶらむし
ミやうもんのけむしを
みょうもんのけむしを
さり心 をもちひてやし
さりこころをもちいてやし
奈へバ命 よくそ多゛ちのび\゛/
なえばいのちよくそだ ちのびのび
としてさい王ひ能者奈さ起
としてさいわいのはなさき
ふうきのみのり志そんの
ふうきのみのりしそんの
ゑ多゛者志げり千 ざい乃
えだ はしげりせんざいの
老 松 のごとく
おいまつのごとく
とき王の
ときわの
大 木 と奈り
たいぼくとなり
名 木 の本まれを
めいぼくのほまれを
能こ春ことう多可゛ひ
のこすことうたが い
P28
奈しゑ多゛もさ可へて
なしえだ もさかえて
者も志げるちよのこ
はもしげるちよのこ
おめで多やとハ此 こと
おめでたやとはこのこと
なり
なり
(大意)
利欲の油虫・名聞の毛虫を取り除き、心を込めて育てれば、命はよく育ち、のびのびとして幸せの花が咲き、富貴の実がなり、子孫の枝葉が茂り、千歳の老松のように常磐の大木となり、銘木の誉れとなって残ることは疑いがない。枝も栄えて葉も茂る。千代の子おめでたやとはこのことである。
(補足)
「とき王の」、「とゝさ王の」と誤読。これでは意味が通じません。
「ミやうもんのけむし」、世間の評判を求め、繕う毛虫
「ちよのこ」、子々孫々。
この本あと1ページを残すのみ。全頁にわたって教訓的に述べる部分はどこか徒然草をおもいおこさせます。京伝の愛読書だったのかもしれません。
囲炉裏の奥、二つ折りの屏風の絵はどこかの何とか浦の風景。壁を切りとって窓からの実際の眺めのようにも見えます。部屋の奥行きをねらったのでしょうか。
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