P27P28 国文学研究資料館蔵
P28
(読み)
「せんど志よく王以
せんどしょか い
のミ多て能と起客
のみたてのとききゃく
乃金 越せしめんと
のかねをせしめんと
こ多川の可げ尓
こたつのかげに
より玉 ふこの
よりたまうこの
きやく尓和可尓
きゃくにわかに
だいそくと
だいぞくと
奈りへとをつき
なりへどをつき
てを奈らし志ん
てをならししん
ぞ可ふろとふざ
ぞかぶろとふざ
けしより客 を
けしよりきゃくを
きや本と申
きやぼともう
春と可や
すとかや
「それハ老 松
それはおいまつ
のもぢりこ川
のもじりこっ
ちハ命 といふ
ちはいのちという
じの松 乃木
じのまつのき
可゛ね川゛よく奈つ
が ねづ よくなっ
てどん奈可せ可゛ふい
てどんなかぜが ふい
天もを連るきづ可ひハ
てもおれるきづかいは
奈い\/つふり多゛
ないないつぶりだ
(大意)
「せんだって、最初の客との顔合わせでどのような方なのか品定めしたときのこと、客の金をせしめてやろうと、炬燵のかげからうかがっていた。この客が突然えげつなくなって、反吐(へど)をして手を打ち鳴らし、新造・禿とふざけはじめた。こんな客をまさに野暮天と申すのだろう。
それは(「せんど志よく王以のミ多て能と起〜」の部分)常磐津の老松からのもじりだが、こっちは命という字の松の木が丈夫に根をはって、どんな風が吹いても、折れる心配はないないつぶりだ。
(補足)
出だしから、どこで区切るのか、また意味もチンプンカンプン😤
「せんど」、「せんど【先度】さきごろ。せんだって。このあいだ。以前。先日」
「だいそく」、「だいぞく【大俗】(僧に対して)世俗の人。また,非常に俗なこと。「―の身でそのやうな事がなるものか」〈狂言・花子〉」
「きや本」、生野暮。野暮まるだしということ。生醤油・生糸・生娘・生真面目など「生」は接頭語。
「せんど志よく王以のミ多て能と起〜」、常磐津の老松からのもじり。その歌詞は「秦の始皇の御狩のとき、天俄にかきくもり大雨しきりふりしかば。帝、雨を凌がんと小松の蔭に寄り給ふ此の松、たちまち大木となり、枝をたれ葉を重ね木の間すき間をふさぎて、雨をもらさゞりしかば帝太夫といふ爵を、おくり下し給ひてより松を太夫と申すとかや」とあって、ほぼそっくり歌詞の流れやリズムをそのまま、単語を変えているだけでなぞっています。
「奈い\/つふり」、「まいまいつぶり」(かたつむり)の洒落。
命を松の幹と枝ぶり(だけではなく松の木の常緑長寿の象徴)に引っ掛けたのはお見事であります。文章の言葉遊びよりおもしろい。
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