P7 国文学研究資料館蔵
(読み)
初 会 の
しょかいの
いりめ
いりめ
うらやく
うらやく
そく
そく
三 会 目
さんかいめ
のとこ
のとこ
者奈
ばな
く王ん於ん
か んのん
のあげ
のあげ
ものもゝ
ものもも
のせ川く
のせっく
やあやめ
やあやめ
ふく
ふく
のきの
のきの
とう
とう
ろう
ろう
二どの
にどの
月 と
つきと
可多り奈可゛ら
かたりなが ら
是 でハよつ
これではよっ
本゜といき
ぽ どいき
つきそふ
つきそう
奈ものと
なものと
於もひ
おもい
の本可
のほか
奈ミ尓
なみに
者づ連
はずれ
て大 金
てたいきん
をつ可うゆへ
をつかうゆえ
志りても
しりでも
こよう可と内 志よ可らさしつして
こようかとないしょからさしずして
まきちらし多可年をとりあつめ王けも
まきちらしたかねをとりあるめわけも
奈いことぐし\/いつてのこらず可へす
ないことぐしぐしいってのこらずかえす
(大意)
初会の費用、裏約束、三会目の床花(ご祝儀)、観音様へのお供え(にくわえて)、「桃の節句やあやめふく軒の燈籠、二度の月」(とさらに金がかかる)と語りながら、このままでは、確実に財産を使い果たしてしまい、尻拭いをしなければならなくなると、内所(遊女屋の主)からの指図で、まき散らした金をかき集め、グジグジとわけのわからないことを言って、残らず返してしまった。
(補足)
「いりめ」、『いりめ【入り目】
① 費用。かかり。「初会の―,裏約束」〈黄表紙・莫切自根金生木〉』
「とこ者奈」、『とこばな【床花】
江戸時代,遊里でなじみ(馴染(三会目))になったしるしとして遊女に床で与えた祝儀の金』
「く王ん於んのあげもの」、ここでは吉原のすぐ南側の浅草観音(浅草寺の通称)。
「二どの月」、『にどのつき 【二度の月】
8月十五夜の月と9月十三夜の月。昔はこのうちの一方の月見をして他方の月見をしないと不吉な事があるとして忌んだ』
「志りてもこよう」、『尻が◦来る
苦情や談判を持ち込まれる。他人の尻ぬぐいをする羽目になる』
「いきつきそふ」、『ゆきつ・く【行き着く】
④ 財産をすっかり使い果たす。いきつく。「これではよつぽど―・きさうなものと思ひのほか,なみはづれて大金を使ふゆゑ」〈黄表紙・莫切自根金生木〉』
ふぅ〜、読むのもなかなか大変、金をまくのはもっと大変。
屏風の絵は谷間に流れる小川と岸辺の木、でしょうか。こんなのをササッと描いてしまうのでしょうね。でもセリフの侵入は許さないという強い意志を感じます。
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