P8 国文学研究資料館蔵
(読み)
王多くしどもハ
わたくしどもは
あらぜにを
あらぜにを
とります
とります
可ら
から
そのやう尓
そのように
い多ゝ起ますと
いただきますと
め うり可゛
みょうりが
王るふごさり
わるうござり
ます
ます
御ぢひで
おじひで
ござり
ござり
ます可ら
ますから
モウさ可てハ
もうさかては
御めん奈され
ごめんなされ
まし
まし
ソレても
それでも
てめへのる
てめえのり
ときさ可てハ
ときさかては
やり志多゛いと
やりしだ いと
きめ多可ら
きめたから
奈んといつても
なんといっても
やらねバ
やらねば
奈らねへ
ならねえ
本゛う
ぼ う
ぐミ
ぐみ
く多゛
くだ
さらぬ
さらぬ
やう二於ね可゛い申 しやれ
ようにおねが いもうしやれ
(大意)
(駕籠かき右)「わたくしどもは日銭で稼いでおりますから、そのようにいただきますと、バチがあたります。お慈悲でございますから、もう心づけの金は勘弁してくださいまし」
(萬々)「それでもてめえ、乗るときに心付けはいくらでもやり放題と決めていたから、なにを言われようともやらなくてはいけねぇ」
(駕籠かき左)「相棒、くださらぬようにお願い申し上げてくれや」
(補足)
「めうり可゛王るふ」、『冥利が悪・い 神仏の加護が受けられない。ばちがあたる。「墓参りでもしてやらなければ―・いから」〈塩原多助一代記•円朝〉』
「本゛うぐミ」、『ぼうぐみ ばう―【棒組み】② 駕籠(かご)かきの相棒。また,駕籠かき。「ままよ,―まけてやらあず」〈滑稽本・東海道中膝栗毛•4〉』
この駕籠かきたち(ふたりともはだし)はどうやらまともなようで、走るのを仕事にしていた人たちは冬でも褌いっちょだったようです。
右の駕籠かきのもみあげがこだわりのようで、絵師もまたこだわっているようであります。
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