2024年6月13日木曜日

莫切自根金生木 その8

P3P4 国文学研究資料館蔵

P4

(読み)

可やう二申

かようにもうし


ます可らハ

ますからは


御可へし

おかえし


申  と

もうすと


いふ

いう


やう奈

ような

P4

人外

じんがい


奈義二

なぎに


い多し

いたし


ませぬ

ませぬ


これで

これで


けさ可ら

けさから


八 百  廿   八

はっぴゃくにじゅうはち


までハ

までは


かぞへ多可゛

かぞえたが


あとハ

あとは


於本゛へぬ

おぼ えぬ


こ者多゛

こはだの


のすし

のすし


あじの

あじの


すし

すし


奈んと

なんと


きつい可

きついか

(大意)

(借り手の盲人)「そのようにおっしゃられては、お返し申すというような、人の道に外れた行いはいたしませぬ」

(下女)「これで今朝から、八百二十八までは数えたが、もうそのあとはおぼえていない」

(下男)「小鰭(こはだ)の寿司、鯵の寿司。あぁ大変だ」

(補足)

 中央の剃髪にしているふたり、こちら向きの人を拡大してみると目が見えないようです。また衣装からもそのようであるとわかります。江戸時代、盲人は鍼灸あんまで生計をたてている人や、(高利)金貸しをしている人も多かったそうです。萬々のところでただ同然に借りて、高利でさらに金貸しとなって稼いでいる人たちを暗ににおわせたのかもしれません。

 背丈をこえる立派な屏風というか間仕切りというか衝立というか、とにかく豪勢です。竹が描いてあるように見えますが、千両箱を運ぶ二人(下女は着物の裾を引きずっていますし、下男は足袋をはいています)はあたかもその竹藪の奥から出てきたような趣になっています。ここの千両箱、時代劇で見るものとはことなっていて実際にこのようなものもあったのでしょう。

 この千両箱の箱が、寿司箱のようなので、この下男は物売りのように「こはだの〜すしっ、あじ〜〜のすしっ」と掛け声をまねてます。

 

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