P29 国文学研究資料館蔵
(読み)
「奈る本ど此 本
なるほどこのほん
ハ命 の能びる
はいのちののびる
本ん多゛
ほんだ
お可しい\/
おかしいおかしい
あハゝ\/ \/
あははあははあはは
\/
あはは
と王らふ
とわらう
多び尓
たびに
命 可゛
いのちが
のびる
のびる
や川さ
やつさ
京 傅 戯作
きょうでんげさく
哥 麿 画
うたまろが
清覚世
道人傅方
讀書丸(とくしよく王ん)
どくしょが ん
一 包 代 一 匁 五分
いっぽうだいいちもんめごぶ
きこんを徒よくしものお本゛へを
きこんをつよくしものおぼ えを
よくし可゛ン里きをつよくしもの尓
よくしが んりきをつよくしものに
多いく川志多る尓よし又 う川き越
たいくつしたるによしまたうつきを
者らいきぶんをさ王や可尓春きよ志やう
はらいきぶんをさわやかにすきょしょう
可川しやうの人 用 てよし又 旅 行 尓多く王へて
かっしょうのひともちいてよしまたりょこうにたくわえて
ゑ起お本しくハしくハ能う可゛き尓あり
えきおおしくわしくはのうが きにあり
賣 弘 所 京 傅 店
うりひろめどころ きょうでんだな
(大意)
「なるほど、この本は命の延びる本だ。おかしいおかしい、あははあははあははあはは」と、笑うたびに命が延びるやつさ。
京傅戯作
哥麿画
清覚世道人傅方
讀書丸(とくしよく王ん)
一包代 一匁五分
以下略
(補足)
「賣弘所」、ネットで調べると『「売弘所」「弘所」「取次所」などの記載がある. が、これらの呼び方の違いについて詳しくはよく. わからないが、問屋・取次・小売を意味するもの. のようである』とありました。明治になるとこのような本の奥付に宣伝とともに売捌人・売捌所などとあります。
寛政11年(1799)京伝39歳のとき、父伝左衛門が78歳で亡くなっています。当時としては長命でした。京伝自身は文化13年(1816)56歳で亡くなりました。
命を延ばすにはといろいろ講釈していますが、この本の最後に笑いこそ一番の薬であるとしたのは、自身の一番納得できることだったからでもありましょう。
わたしもなんどもウンウンとうなずくのでありました。
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