2024年6月18日火曜日

莫切自根金生木 その13

P7 国文学研究資料館蔵

(読み)

ソレ御めへ様 も ソレつうと可 何 と可 ソレよし可へ

それおめえさまも それつうとか なんとか それよしかへ


ところをずつとね ソレ可へる可ね

ところをずっとね それかえるかね


ソレ


よし可へ

よしかへ


へゝゝゝ

へへへへ


てめへの

てめえの


いふとをり

いうとおり


於れもソレナソレ

おれもそれなそれ


徒つと

づっと


ソレ多尓よつて

それだによって


可へりハ

かへりは


可へらふ可゛

かえろうが


可年ハ奈ん志゛う

かねはなんじゅう


多゛の

だ の


王つち

わっち


どもも

どもも


い多ゝ

いただ



とうハ

とうは


ござり

ござり


やす可゛

やすが


こん奈二

こんなに


御もらひ

おもらい


申  やしても

もうしやしても


内 志よで

ないしょで


や可ま

やかま


志うござり

しうござり


やす

やす

(大意)

(男)「ソレおめえ様も、ソレつうとか何とか、ソレよしかへ、ところをずっとね、ソレかえるかね(金)、ソレよしかへ、へへへへ」

(萬々)「てめえの言うとおり、おれもソレナソレ、づっとソレだによって、かえりは帰ろうが、金は難渋だの」

(遣り手婆)「わっちどもも、いただきとうはござりやすが、こんなにおもらい申しやしても、内所でやかましゅうござりやす」

(補足)

 遊女屋の男が「王けも奈いことぐし\/いつて」いる内容はわからないながらも「あのぉ〜御めえ様も、えぇ〜通というかなんというか、そのぉ〜やめてですね、まぁでもずっとそのままでもね、う〜ん返すのかね、いやぁ〜やっぱしそうじゃないか、ははははは」のようなことなのかと、やはりわけのわからないぼやきになりました。

 萬々は「てめえのいうとおりだ。おれもそれそれそれだよ、ずっとそれなのさ。帰るは帰るが、金はやっかいだの」のような感じ。

「御めへ様」、ここの「様」のくずし字は「満」のくずし字の右側だけににています。

「何と可」、「何」がそれらしくみえなくて、違う字かもしれません。変体仮名「於」のようなかたち。

 萬々は、まいた小判をざるに集めて返されてのけぞっています。

 

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