2024年6月8日土曜日

莫切自根金生木 その3

P1P2 国文学研究資料館蔵

P1

(読み)

こゝ尓

ここに


御ぞん

ごぞん


じの

じの


きん\/

きんきん


せん

せん


生 の

せいの


ま多

また


と奈り

となり



まん\/

まんまん


せん

せん


生 と

せいと


いふ

いう


もの

もの


あり

あり


七 珍

しっちん


万 宝

まんぽう


くら尓

くらに


ミち

みち


\/

みち



代 \/

だいだい


ゑよふニ

えように


くらし

くらし


个る可゛

けるが


もの

もの


ごと

ごと


志゛ゆう二

じ ゆうに


ての

ての


ま王る可゛

まわるが


志きりと

しきりと


うるさく

うるさく


三 日奈り共

みっかなりとも

(大意)

 ここにご存知の身なりのととのった先生の家のその隣に、萬々先生という者が住んでいた。多くの宝物が蔵にあふれ、代々富み豊かに暮らしていたが、何でも自由し放題にできて、それがかえってうっとおしく、三日程度でも

(補足)

「きん\/」、『きんきん 【金金】〔江戸時代中期の流行語〕

当世風でしゃれていること。また,身なりを立派にこしらえた状態。「あんまり―が過ぎたから」〈黄表紙・啌多雁取帳〉』

「七珍万宝」、『しっちんまんぽう【七珍万宝】〔「まんぽう」は古くは「まんぼう」〕

〘仏〙 七宝と多くのたからもの。「家々の日記,代々の文書,―さながら塵灰となりぬ」〈平家物語•1〉』

「ゑよふ」、『えよう ―えう【栄耀】〔「えいよう」の転〕

① 権力を得て,富み,栄えること。「栄花にも―にもげにこの上やあるべき」〈謡曲・邯鄲〉

② ぜいたくをすること。気ままかってなこと。おごり。「お前のお蔭で―する今夜の人も大ぜい有に」〈浄瑠璃・淀鯉出世滝徳•上〉』

 部屋の奥のすみに積み上げてあるたくさんの箱、何かとおもえば太い字で「千両」とある。蔵に入りきれないほどあふれているということ。

 

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