P23P24 国文学研究資料館蔵
P24
(読み)
ミやく可゛ござるこれを奈川゛けて者や可゛和り能ミやくと
みゃくが ござるこれをなず けてはやが わりのみゃくと
いゝま春可ぜひきにひ川かへしのミやくといふ可゛あるこれハ
いいますかぜひきにひっかえしのみゃくというが あるこれは
者りをつ奈ぎにうつていねバ奈らぬ又 ねつ可゛つよくてこの者゛ハ
はりをつなぎにうっていねばならぬまたねつが つよくてこのば は
此 まゝ多ち王可れん可多\゛/さらバ奈どとうハことをいふをつらミやくともか多志や
このままたちわかれんかた がたさらばなどとうわごとをいうをつらみゃくともかたしゃ
ぎり能
ぎりの
ミやくともいふ又 志川゛んでう川をくろミやくと毛多゛んまりのミやくともいひきびし
みゃくともいうまたしず んでうつをくろみゃくともだ んまりのみゃくともいいきびし
くう川を
くうつを
ちよん\/ ミやくといひま須
ちょんちょんみゃくといいます
(大意)
(脈がある。)これを名付けて早変わりの脈といいます。風邪をひいたときに引っ返しの脈というものがある。これは鍼(はり)を続けて打たなくてはいけない。また、熱がひどく出て、「この場はこのまま別れよう。かたがたさらば」などとうわごとをいうものを面脈(つらみゃく)とも、片しゃぎりの脈ともいう。また、沈んだように打つ脈を黒脈とも、だんまりの脈ともいい、はげしく打つ脈をちょんちょん脈といいます。
(補足)
「いゝま春」、「ま」がちょっとわかりにく。ですます調が区切りごとに何回もでてきますが、新鮮に響きます。
脈の種類を歌舞伎の幕、これも「まく」を「みゃく」と引っ掛けている、の種類にたとえて洒落が続きます。
「者や可゛和り」、早変わりの幕。七変化物などで、同じ一つの場面で素早く姿を変え、二役以上を演じるときに用いる幕。歌舞伎を見ない人でもこれは見知っているとおもいます。
「ひ川かへしのミやく」、引き返しの幕の洒落。一度幕を引き、下座音楽や拍子木などでつないでおいて、急にまた開ける幕のことで、場面の転換をはかる。
「者りをつ奈ぎにうつて」、「つなぎ」は「 芝居や演劇で引き返し幕のとき,二つずつ続け打ちに拍子木を打ったり,音楽を演奏したりすること」で、「ひ川かへし」をうけて洒落ています。
「つらミやく」、「つらみせ」の洒落?歌舞伎の顔見世。
「か多志やぎり」、かたしゃぎり【片しゃぎり】
歌舞伎の下座の一。松羽目物や口上などの幕開き,大時代物の幕切れなどに用いる。太鼓・大鼓・小鼓・能管などを用い,太鼓を右ばちの片方で流す手法が特徴。
「くろミやく」、くろまく【黒幕】
① 黒色の幕。特に,歌舞伎で夜の場面や場面転換などのために用いるものをいう。
「だんまりの脈」だんまり【黙り】
② (「暗闘」とも書く)歌舞伎で,暗やみの中で,登場人物が無言でさぐりあいをするさまを様式化したもの。また,その場面。
「ちょんちょん脈」、道具替えをするときなど、柏木をちょんちょんと軽く打って次の幕につなげること。返し幕。
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