2024年5月12日日曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その46

P17P18 国文学研究資料館蔵

P17

(読み)

「おや者゛可

 おやば か


らしい可ぜを

らしいかぜを


ひき奈んしやう

ひきなんしょう


尓へ

にぇ


「ゆやでふんどし

 ゆやでふんどし


のせん多く春る

のせんたくする


きどり多゛ぞ

きどれだ ぞ


「これ可゛本んの金 を

 これが ほんのかねを


ゆミ川゛のやうに

ゆみず のように


つ可うといふの多

つかうというのだ


奈んときつい可\/

なんときついかきついか


命  のせん多く

いのちのせんたく


とハいふものゝ

とはいうものの


志川ハふられ多

じつはふられた


者ぢを春ゝぎ

はじをすすぎ


多゛春のさ

だ すのさ

(大意)

「おや、馬鹿らしい。かぜをひきなんしょうにぇ。

「湯屋でふんどしを洗濯しているようであろう。

「これがほんとうの『金を湯水のように使う』ということなのだ。なんともたいしたものだ、すばらしい。命の洗濯とはいうものの、実はふられた恥を洗い流しているさ。

(補足)

「ふんどし」、ここの「と」は「Z」+「ヽ」のようなかたち。

「きつい」、ここの『きつい』は『⑥ 大したものだ。素晴らしい。「お娘御の三味線は―・いものでござる」〈咄本・鯛の味噌津〉』

 「命の洗濯に〜する」とはいまでも温泉湯治に行くときなど普通に使われていますが、この当時から、いやもっと時代は遡るのかもしれません。

 右隅のまだ小柄な女性は着物の裾も短く足がみえています。髷も小さい。禿(かむろ)です。

 

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