2022年7月5日火曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その4

P1後半 国立国会図書館蔵

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(読み)

そのころのぢ うぢ可゛いふ尓ハ可う

そのころのじゅうじが いうにはこう


しておくのハむえき奈りとてとり

しておくのはむえきなりとてとり


い多゛しゐろりへ可けてゆを王可さんと▲

いだ しいろりへかけてゆをわかさんと


(大意)

その頃の住持(僧侶)が言うには

こうしておくのはもったいないので取り

出して囲炉裏へかけて湯を沸かそうと


(補足)

変体仮名「可」(か)、ひらがな「ら」、「う」、たまに「ろ」はどれもにていますので文意から読むことが多いです。

変体仮名「由」(ゆ)は中の縦棒がグニャリと曲がるのが特徴です。

 P1の右の頁は見返しでちょっと陰鬱な雰囲気でした。それを意識したのかそれとも最初の頁でつかみが必要だったのか、この頁は力を入れているのがよくわかります。

住職は驚きつつもうれしそう。襟巻き、着物、帯、座布団のどれも柄を工夫し同じものがありません。

囲炉裏の茶釜、たぬきの毛並みと尻尾、囲炉裏の木の囲いと灰、これらもタッチを変えています。

右の障子の桟、板目の柄、縁側の柾目も幅を変えています。

庭木のどこを見ても同じような刻み方はせず、すべて異なるタッチです。

見事というしかありません。

 

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