P1後半 国立国会図書館蔵
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(読み)
そのころのぢ うぢ可゛いふ尓ハ可う
そのころのじゅうじが いうにはこう
しておくのハむえき奈りとてとり
しておくのはむえきなりとてとり
い多゛しゐろりへ可けてゆを王可さんと▲
いだ しいろりへかけてゆをわかさんと
(大意)
その頃の住持(僧侶)が言うには
こうしておくのはもったいないので取り
出して囲炉裏へかけて湯を沸かそうと
(補足)
変体仮名「可」(か)、ひらがな「ら」、「う」、たまに「ろ」はどれもにていますので文意から読むことが多いです。
変体仮名「由」(ゆ)は中の縦棒がグニャリと曲がるのが特徴です。
P1の右の頁は見返しでちょっと陰鬱な雰囲気でした。それを意識したのかそれとも最初の頁でつかみが必要だったのか、この頁は力を入れているのがよくわかります。
住職は驚きつつもうれしそう。襟巻き、着物、帯、座布団のどれも柄を工夫し同じものがありません。
囲炉裏の茶釜、たぬきの毛並みと尻尾、囲炉裏の木の囲いと灰、これらもタッチを変えています。
右の障子の桟、板目の柄、縁側の柾目も幅を変えています。
庭木のどこを見ても同じような刻み方はせず、すべて異なるタッチです。
見事というしかありません。
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