2022年7月4日月曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その3

P1前半 国立国会図書館蔵

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(読み)

む可し\/ じやうし う多て者゛やし尓

むかしむかしじょうしゅうたてば やしに


も里んじといふてらありこゝ尓ふる

もりんじというてらありここにふる


きちや可゛満の志゛うもつありてつ年尓

きちゃが まのじゅうもつありてつねに


志まひおきてつ可ハざりし可゛ある日

しまいおきてつかわざりすが あるひ


(大意)

昔々上州館林に

茂林寺という寺がありました。ここに古い

茶釜で貴重なものがあり、つねに

しまわれていて使われていませんでした。ある日


(補足)

 硬筆のくずし字は毛筆のものと比べてかすれや上下のつながりがあまりないので、わたしのような初学者にとってはわかりやすくて学ぶ教材としてはありがたいものです。

「し」が出だしの「む可し」以外は縦棒のようになっていて、かたちが特徴的です。

「も」のかたちが二種類あります。二行目行頭の「も」は現在のものと同じようなかたちです。三行目中央「志゛うもつ」では、縦棒の最下部で「S」を下から上がってゆくようなかたちになってます。

「あ」は「お」の点がないようなかたち。

「ふるき」、変体仮名「留」(る)のかたちは「る」の下半分丸っこい部分だけです。

「ちや可゛満」、変体仮名「満」(ま)は「○」+「α」。

「つ年尓」、変体仮名「年」(ね)は古文書では「Q」のような「○」に「ヽ」ですけど、ここではそのくずれたかたち。

 

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