2022年7月26日火曜日

あさ可゛本物語(木村文三郎) その6

P2 国立国会図書館蔵

P3後半

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(読み)

郎 をミ由起尓ち可づけん

ろうをみゆきにちかずけん


とふ年をこ起゛よせてあそ

とふねをこぎ よせてあそ


二らうをま年起゛い連王り

じろうをまねき いれわり


奈きち起゛りをむ春び个り

なきちぎ りをむすびけり


王可連ををしミてのちの

わかれをおしみてのちの


志るし尓とてあさ可゛本のX⧖

しるしとしてあさが おの


(大意)

(麻二)郎をみゆきに近づけようと

船を漕ぎ寄せ麻二郎を(船に)招き入れ、

深い仲となりました。

別れを惜しみ、のちの

しるしとして、あさがおの


(補足)

「あそ二郎」、ここの「郎」のくずし字は「戸」+「巾」。

「ち可づけんと」、変体仮名「可」(か)は変化自在で「う」になったり「ら」になったり「り」や「つ」にもみえたりします。

「王りなき」「王可連」、変体仮名「王」(わ)は已のようなかたち。平仮名「わ」より頻繁に使われます。

 麻二郎が左手に持つ扇、その上で懐紙にささっと歌をしたためました。本文には扇に直接記したとありますけど・・・

 小舟にゆられて蛍狩り、みゆきは麻二郎に一目惚れ。侍女はただちにささっこちらの船へと麻二郎招き入れ「王り奈きち起゛りをむ春び个り」。なんかこれじゃぁ、ホタル狩りじゃなくて・・・はしたないのでこれ以上は言葉をひかえますけど、ねぇ。

 

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