2022年7月25日月曜日

あさ可゛本物語(木村文三郎) その5

P2 国立国会図書館蔵

P3前半

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(読み)

▲あそじらうといふさむ

 あそじろうというさむ


らひもお奈じくふ年を

らいもおなじくふねを


う可べて本多る可゛り尓いで

うかべてほたるが りにいで


多る可゛ミ由起ハあそ二郎

たるが みゆきはあそじろう


をミそめて志多ハしき

をみそめてしたわしき


やう春をこしもとハミて

ようすをこしもとはみて


とり奈尓可゛奈してあそ二

とりなにが なしてあそじ


(大意)

(宮城)麻二郎というさむらい

も同じく船を

うかべてほたる狩りに出ていたところ、

みゆきは麻二郎を見初め、心惹かれた

様子を侍女は見逃しませんでした。

どのようにしても、麻二(郎)


(補足)

「あそじらう」、「ら」が「つ」に見えますが、「し」の最後から「つ」につながっているのは筆が流れているのではなく、「ら」の前半部分。

「ミ由起ハあそ二郎」、行末「郎」は「らう」がちじまっているようにもみえますが「郎」の一番簡略化されたくずし字です。八行目行頭に「郎」のもうひとつのくずし字があります。

「さむらひも」「こしもとハ」、「も」のかたちがことなっています。最初の「も」は最下部から左回りにあがってゆき、もうひとつは最下部から右回りにあがってゆきます。

 小舟の上の麻二郎、ミ由起が見初めただけはある凛々しい立ち姿。従者の首の角度がとても妙です。表情はなんとなく遠くを見ているような・・・。麻二郎の見ている方向とおなじで、麻二郎の後ろから首をちょっとひねってのぞいているような感じです。ミ由起の小船をうかがっているにちがいありません。

このような姿の絵は見たことがありません。

 

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