2021年11月30日火曜日

桃山人夜話巻三 その21

P12前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  廿   一 波 山

多゛以尓志゛ういち者゛さん

だ いにじゅういちば さん


波 山 ハ俗 間 尓婆 娑\/といへり伊豫の山 中 尓天ハ

者゛さん 曽く可ん 者゛さ      いよ や満奈可

ば さんはぞくかんにば さばさといえりいよのやまなかにては


者゛さ\/の化  と天子供 を於どせり夜ふけて山 家の

      者゛け  こども     よ   さんか

ば さばさのば けとてこどもをおどせりよふけてさんかの


門 口 越者゛さ\/と多ゝくゆへ戸を明 ミれバ何 も奈き

可どぐち            と 阿け   奈尓

かどぐちをば さばさとたたくゆえとをあけみればなにもなき


こと度 ゝ 奈り常 尓深 藪 尓春ミて人 目尓可ゝら須゛

  多び    つ年 ふ可やぶ    ひとめ

ことたびたびなりつねにふかやぶにすみてひとめにかからず


(大意)

第廿一波山

波山は世間では「婆娑婆娑」と呼ばれている。伊予の山中では

「バサバサの化け」と言われて子どもをおどした。夜更けに山中の家の

門口をバサバサとたたく音がするので戸を開けてみれば、何もない

ことがたびたびあった。常に深い藪に住んでひと目にふれず


(補足)

「者゛さ\/と多ゝくゆへ」、一文字一文字確認するのに良い練習問題。

「常」のくずし字は特徴的です。

「深藪尓春ミて」、「尓」の中央が虫食いのためか切れています。ここの「ミ」はわかりやすいけどすぐ右下にある「明ミれバ」の「ミ」はわかりにく。

 

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