2021年11月22日月曜日

桃山人夜話巻三 その13

P7 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

葛 乃葉

くず 者

くずのは


信 太  杜 の久ず能葉の事 ハ

志の多゛のもり    者

しのだ のもりのくずのはのことは


稚  児ま天゛毛知る事 奈れ者゛

おさ奈     し

おさなごまで もしることなれば


古ゝにい王須゛

ここにいわず


(大意)

葛の葉

信太の杜のくずの葉のことは

幼子まで知ってることなので

ここでは言わない


(補足)

「くず」は原本では「艹」「日」「匂」。わたしのPCではそのフォントがありません。

平仮名「ず」が2箇所にあります。たいていは変体仮名「春゛」です。しかし文末では変体仮名「須゛」。

「の」は平仮名「の」、変体仮名「乃」、変体仮名「能」が出てきます。

「事」は平仮名「る」に似たくずし字があります。

「稚児ま天゛毛」、ここの変体仮名「毛」は「もの」や「もろこし」のときに使われるかたちのもの。

「古ゝにい王須゛」、「ここ」がわかりにくい。「に」は変体仮名「尓」ではなく平仮名「に」。

 葛の葉の話の内容とこの絵との関係がわかりません。

庭にはまだ若いすすきと菊の花。中央には床柱のような丸太。女の着物柄は伏見稲荷の鳥居を連想させます。糸巻きの仕事をおわって窓辺に肘掛け腕枕でうとうとする女。姉さんかぶりも洒落てます。

 

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