2021年11月8日月曜日

桃山人夜話巻二 その42

P26後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

尻  ハむ奈い多へ三 寸  斗   抜 出 多り所  ハ由井の浦

志゛り      さん春゛ん者゛可りぬきいで  ところ ゆゐ うら

じ りはむないたへさんず んば かりぬきいでたりところはゆいのうら


辺尓天過 し比 家来 可゛死骸  を負 櫃 尓入れて

べ  春ぎ ころけら以  し可゛い 於ひびつ い

べにてすぎしころけらいが しが いをおいびつにいれて


捨 多る所  奈り登其 比 人 の語 りしと楚゛恐 るべ

春て  ところ   そのころひと 可多     於曽

すてたるところなりとそのころひとのかたりしとぞ おそるべ


きハ人  霊 の祭  葬 尓し天崇   べきハ先祖  の塚 也

  志゛ん連以 まつりごと   阿可゛む   せん曽゛ つ可

きはじ んれいのまつりごろにしてあが むべきはせんぞ のつかなり


(大意)

矢じりは胸板へ三寸ばかり抜き出た。その場所は由井の浦

辺で、かって家来の死骸を負櫃に入れて

捨てたところであったと、その当時、人々が語っていたとのことである。恐るべ

きは人の霊を鎮める祭葬であり、崇めるべきは先祖の塚なのである。


(補足)

「三寸斗」(さん春゛ん者゛可り)、変体仮名「春」(す)と変体仮名「者」(は)はパッと見ためがにていて間違いやすそう。わたしはよくあれっとおもうことが何度もあります。 変体仮名「春」(す)は「す」+「て」or 「十」+「て」のようなかたちで、変体仮名「者」(は)は「む」の最後が右下に流れるようなかたち。

 どんな人てあろうと死んだらきちんとお葬式をして魂を鎮め、その後もお墓参りをちゃんとしなさいよというお話でした。

 この本文のお題は「溝出」(みぞいだし)なのですが、本文の内容とどのような絡まりがあるのかがピンときません。うーん・・・

 

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