P26後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
尻 ハむ奈い多へ三 寸 斗 抜 出 多り所 ハ由井の浦
志゛り さん春゛ん者゛可りぬきいで ところ ゆゐ うら
じ りはむないたへさんず んば かりぬきいでたりところはゆいのうら
辺尓天過 し比 家来 可゛死骸 を負 櫃 尓入れて
べ 春ぎ ころけら以 し可゛い 於ひびつ い
べにてすぎしころけらいが しが いをおいびつにいれて
捨 多る所 奈り登其 比 人 の語 りしと楚゛恐 るべ
春て ところ そのころひと 可多 於曽
すてたるところなりとそのころひとのかたりしとぞ おそるべ
きハ人 霊 の祭 葬 尓し天崇 べきハ先祖 の塚 也
志゛ん連以 まつりごと 阿可゛む せん曽゛ つ可
きはじ んれいのまつりごろにしてあが むべきはせんぞ のつかなり
(大意)
矢じりは胸板へ三寸ばかり抜き出た。その場所は由井の浦
辺で、かって家来の死骸を負櫃に入れて
捨てたところであったと、その当時、人々が語っていたとのことである。恐るべ
きは人の霊を鎮める祭葬であり、崇めるべきは先祖の塚なのである。
(補足)
「三寸斗」(さん春゛ん者゛可り)、変体仮名「春」(す)と変体仮名「者」(は)はパッと見ためがにていて間違いやすそう。わたしはよくあれっとおもうことが何度もあります。 変体仮名「春」(す)は「す」+「て」or 「十」+「て」のようなかたちで、変体仮名「者」(は)は「む」の最後が右下に流れるようなかたち。
どんな人てあろうと死んだらきちんとお葬式をして魂を鎮め、その後もお墓参りをちゃんとしなさいよというお話でした。
この本文のお題は「溝出」(みぞいだし)なのですが、本文の内容とどのような絡まりがあるのかがピンときません。うーん・・・
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