2021年11月29日月曜日

桃山人夜話巻三 その20

P11後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

こと那し後 尓犬 の多免尓足 越噛 連天ちん

    のち いぬ    あし 可満  

ことなしのちにいぬのためにあしをかまれてちん


者゛と奈り人 の家 尓畜 れ天禍 福 の吉凶  を云

     ひと いゑ 可ハ  くハふく よしあし いふ

ば となりひとのいえにかわれてか ふくのよしあしをいう


尓当 ら須゛と以ふこと奈しと途巷 随  筆 尓のせ多

 阿多           とこう春゛いひつ  

にあたらず ということなしととこうず いひつにのせた


里芝  右エ門可゛狸  登日越同  ふせし者那し奈り个り

 志者゛ゑもん  多ぬき ひ 於奈じ      

りしば えもんが たぬきとひをおなじうせしなはしなりけり


(大意)

(不明なところは)なかった。のちに犬に足を噛まれてびっこ

をひくようになり人の家に飼われて、人の幸不幸を占わせると

当たらないことはなかったと「途巷随筆」に記載されている。

芝右衛門の狸と同様のはなしなのである。


(補足)

「当ら須゛と以ふこと奈しと」、「ら」はそのかたちをなくしていてただの縦棒。「ふ」は「つ」のよう。「こと」は合字。

 現在でも芝右衛門の祠や大明神があって、丁寧に祀られているそうです。


 

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