P6前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
个る可゛誰 志る登ハ奈し尓此 塚 を畜 生 塚 といひ
多゛れ このつ可 ちくせ うづ可
けるが だ れしるとはなしにこのつかをちくしょうづかといい
奈らハし天今 尓草 香山 の谷 可げ尓此 跡 のこり
いま くさ可やま 多尓 このあと
ならわしていまにくさかやまのたにかげにこのあとのこり
天有 しと奈ん毛路こし尓も是 尓似多ること有
あり これ 尓 あり
てありしとなんもろこしにもこれににたることあり
畜 類 といへども己 れ可゛徒多奈き尓恥 天ミづ可ら
ちくる以 をの 者ぢ
ちくるいといえどもおのれが つたなきにはじてみずから
死し多ることいと哀 奈り人 間 の心 奈き毛の尓く
し 阿ハれ 尓ん个゛ん こゝろ
ししたることいとあハれなりにんげ んのこころなきものにく
(大意)
しかし、誰知るとはなしにこの塚を「畜生塚」という
ようになり、今も草香山の谷かげにこの跡が残って
いるという。唐土にもこれに似た話がある。
畜類とはいえ己のつたなさを恥じてみずから
命を絶ったことはたいそう哀れなことである。人間の分別のないものに
(補足)
「毛路こし尓も」、外国にもという意の定番の言葉。
「徒多奈き」、「つ」は最初、変体仮名「津」(つ)にしていたのですが、再度調べて変体仮名「徒」(つ)のほうにしました。「津」は縦棒がまっすぐに下にのびるのですが、ここのは中ほどで右にながれています。
「いと」、ここの「い」は右隣の「い(へども)」のより大きいです。大きな声で読んだり、意味を強調したいときには字を大きくするような気がします。
振り仮名「阿ハれ」、「ハ」が変体仮名「和」(わ)にもみえますが、さて・・・
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