P4前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
世尓多ぐひ奈き人 と奈し天家 を起 し名を阿
よ ひと いゑ 於こ 奈
よにたぐいなきひととなしていえをおこしなをあ
げさ須遍゛し登歎 个る尓楚゛安 成 もふ便 尓思
奈げき や春奈り びん 於も
げさすべ しとなげきけるにぞ やすなりもふびんにおも
ひ天是 越里やうせ うし扨 いひ个るハ何 と天ま多
これ さて 奈尓
いてこれをりょうしょうしさていいけるはなにとてまた
子のある中 越さけ天世越バ去 事 曽゛い可尓もし天
奈可 よ さること
このあるなかをさけてよをばさることぞ いかにもして
(大意)
世に並ぶものがないくらい立派な人となり、家を盛んにし、名を
あげさせましょう」と嘆いたのだった。安成は不憫に思い
これを了承した。さて言うには「どうしてまた
子があるというのにこれをさけて、この世を去るのだ。どうにかして
(補足)
一行目はかって卒業式で歌われた歌詞の一節そのまま。
「里やうせう」、旧仮名遣い。
歌舞伎の舞台はつづきます。野狐の嘆きをきいていた安成に照明がうつると同時に、三味線は嘆きの調子から一転して、安成のこころの細かく動く様をあらわすかのように悲しくも小刻みな音となります。
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