P11前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
居の狸 じや阿ろまいし登ハ此 事 越いひ多可゛へ多
ゐ 多ぬき このこと
いのたぬきじゃあろまいしとはこのことをいいたが へた
る奈りと古老 の咄 尓伝 へ多り唐 土成 宗 の元
こらう 者奈し つ多 もろこしせい曽う 个゛ん
るなりところうのはなしにつたえたりもろこしせいそうのげ ん
貞 二年 尓阮 梁 の坊 門 尓狸 有 天能 支那の
て以尓袮ん 个゛んりやう 本うもん 多ぬきあり よくし奈
ていにねんにげ んりょうのぼうもんにたぬきありてよくしなの
地理越弁 ぜり王 宛 登いふ毛の書 越以 天是 登
ち里 べん 王うゑん 志よ もつ これ
ちりをべんぜりおうえんというものしょをもってこれと
論 春゛る尓具 尓其 所 越得天ひとつとし天失 ふ
ろん つぶさ 曽のところ え うし奈
ろんず るにつぶさにそのところをえてひとつとしてうしなう
(大意)
芝居の狸じゃあるまいし」とは、このことを言い間違いした
のだと古老のはなしに伝えている。唐の成宗(皇帝)の元貞二年、
阮梁(げんりょう)の坊門に狸がいて、よく支那の
地理を弁じていた。王宛(おうえん)という者が書によってこの狸と
議論をしたところ、詳細に論点を見抜きひとつとして不明なところは(なかった)
(補足)
「阿ろまいし」、「る」の間違えではと確かめても「ろ」でした。
「いひ多可゛へ多る」、「可゛へ」のところが虫食い?で読めませんけど。同じく「王宛登いふ毛の」の「い」も同様。
「書」のくずし字は「書」をくずしたものと考えずに、別の漢字として覚える。「登」のくずし字の上半分とにてます。
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