P5前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
可り个る可゛わ可れの折 尓いひ个るハ王可゛死多る可ら
をり し
かりけるが わかれのおりにいいけるはわが したるから
を深 く土 尓埋 天給 ハれ可゛し登て其 夜いづ
ふ可 つち うつめ 多満 曽のよ
をふかくつちにうつめてたまわれが しとてそのよいず
ちとも奈くうせ多り个り安 成 歎 き尓多え須゛
や春阿り奈げ
ちともなくうせたりけりやすなりなげきにたえず
登いへども人 尓かくと語 らんやうも奈く明 く連
ひと 可多 あけ
といえどもひとにかくとかたらんようもなくあけくれ
(大意)
(忍び)難かったが、別れの折に言うには「わたしの
亡骸をどうか深く土に埋めてください」とのこして、その夜、いず
こともなく去っていた。安成は悲しみに耐えることは
できなかったが、人にこのことを語ることもなく毎日を過ごし
(補足)
「わ可れ」、この「わ」は何度か出てきています。変体仮名「和」(わ)or 平仮名「わ」。「可」は「う」にも見えます。変体仮名「可」(か)は平仮名「う」「ら」にそっくりです。平仮名「れ」の二画目の出だしが一画目の最後から筆をつづけて丸まっています。彫師の腕は相当なものです。
「可ら」、辞書に「〔魂の抜け去った肉体の意〕なきがら。死骸。《骸》「空しき―を見たてまつらぬが,かひなく」〈源氏物語•蜻蛉〉」とあります。
「かくと」、平仮名「か」もたまに出てきます。「くと」がわかりにく。
調べてみたら「葛の葉」は歌舞伎や人形浄瑠璃で超有名な演目でありました。また動画でも「葛の葉〜子別れの段〜」の舞台がアップされていて、それもなんと約1時間の動画、とにかく定番なのでした。知らぬはジジイのわたしのみ。いっときは銀座の歌舞伎座の立ち見(料金は数百円!)で通ったものなんですけどね。
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