P5後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
心 越附 天こゝよかしこと安 代を伴 ひつゝもと
つけ や春よ とも奈
こころをつけてここよかしことやすよをともないつつもと
むる尓草 香 山 奈る谷 可げ尓ひと川の狐 舌 を
くさ可゛や満 多尓 きつ年志多
むるにくさが やまなるたにかげにひとつのきつねしたを
ミづ可らくひ切 天死し居多り曽れ与里ひ曽可
きり し ゐ
みずからくいきりてししいたりそれよりひそか
尓土 越本りて深 く是 越埋 免塚 のうへ尓松 越
つち ふ可 これ うづ つ可 まつ
につちをほりてふかくこれをうずめつかのうえにまつを
栽 天人 越弔 ふごとく尓追 善 供養 越いと奈ミ
うへ ひと とむら ついぜんくやう
うえてひとをとむらうごとくについぜんくようをいとなみ
(大意)
(毎日)注意深くあちらこちらを安代を連れて探し求めた
ところ、草香山の谷かげに一匹の狐が舌を
みずから噛み切って死んでいるのを見つけた。それからひそか
に土を掘って深く亡骸を埋め、塚の上に松を
植えて人を弔うかのように追善供養を営んだ。
(補足)
「こゝよかしこ」、「し」が短くわかりずらいですが、流れで読めます。
「伴ひつゝ」、「ゝ」が消えてますが、これも流れで「つ」。
「谷」のくずし字。「八」は冠になり、「人」「口」は「古」になってます。
「埋免」、変体仮名「免」(め)はよくでてきます。
ネットで「葛の葉〜子別れの段〜」の動画をみたのですが、どうもわたしの想像する舞台とはかけ離れていました。舞台が明るすぎます。
安成が娘安代を引き連れて、あちらでもなくこちらでもなくと目がおよいでさまようふたりの姿が哀れであります。
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