P2前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
个る可゛楚こ尓一 ツの淫 狐阿り天是 越うらや満しく
ひと ゐんこ これ
けるが そこにひとつのいんこありてこれをうらやましく
や思 ひ个ん彼の美女 登化 天夜ごと安 成 と野
可 びぢよ 者゛け よ や春名り や
やおもいけんかのびじょとば けてよごとやすなりとや
外 尓交 里遂 尓懐 妊 し个れバやむこと越得須゛し
ぐ王以 まじハ つい くわ以尓ん え
が いにまじわりついにか いにんしければやむことをえず し
天此 女 越免とれり十月 を経天玉 のごときお
このをん奈 とつき へ 多満
てこのおんなをめとれりとつきをへてたまのごときお
のこ子越うミ名越安代 と呼 个り常 尓妻 の
ご 奈 や春よ よび つ年 つま
のこごをうみなをやすよとよびけりつねにつまの
(大意)
(契りを)交わしていた。と、そこに一匹のいかがわしい狐がいて、その様子を
うらやましくおもっていた。かの美女に化けて夜ごと安成と野外で
交わりを重ね、ついに妊娠したのでやむを得ず
この女をめとった。十月をへて玉のような
男の子が生まれ、名を安代と名付けた。妻が常に
(補足)
「楚こ尓」、たいていは変体仮名「曽」(そ)ですが、ここでは文末に「〜楚゛」として使われる変体仮名「楚」(そ)。
「うらや満しく」、何度か目を上下してから、読めました。
「思」のくずし字は平仮名「と」ににています。
「夜ごと」、「ごと」は合字「こと」に「゛」。次の行とその次の行にも出てきます。
「安成」、前頁では「成」が楷書でした。この頁ではくずし字の「成」になってます。「求」or「斗」のようなかたち。
「野外」「野狐」、「野」のくずし字は「那」+「王」のようなかたち。
「常」のくずし字は特徴的。
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