P8 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
芝 右衛門狸
し者゛ゑもん多ぬき
しば えもんたぬき
淡 路 国 尓芝 右衛門といへる
あ王ぢのく尓 し者゛ゑもん
あわじのくににしば えもんといえる
古 狸 あり竹 田 出 雲
ふる多゛ぬき 多け多゛いづ毛
ふるだ ぬきありたけだ いずも
芝 居興 行
し者゛いこうぎ う
しば いこうぎょう
せし折 可ら
おり
せしおりから
見 物 尓来
个んぶつ き多
けんぶつにきた
里て犬 尓
いぬ
りていぬに
食ハれ死
く しし
くわれしし
多り然 れ
し可
たりしかれ
共 廿三日可゛
ども
どもにじゅうさんにちが
間 者姿 を
あい多゛ 春可゛多
あいだ はすが たを
あらハさゞ
あらはさざ
里しと
りしと
那り
なり
(大意)
芝右衛門狸
淡路の国に芝右衛門という古狸がいた。
竹田出雲の(人形)芝居が興行されているときに
見物に来て犬に食われて死んでしまった。
しかし(死後)二十三日間は正体を
あらわさなかったという。
(補足)
ページ割の関係で画が先になっています。不鮮明なところも多く読みが間違っているかもしれません。
野犬の群れに襲われ、脛をかまれ尻肉にかぶりつかれ逃げまどう芝右衛門たぬき。よくみると(みなくても)芝右衛門の尻の下あたりから恐怖で隠しきれなくなったのか、尻尾が出てきてしまいました。
「竹田出雲」、振り仮名「い」の一画目が薄く短いので「つ」にみえます。変体仮名「毛」は「毛の」の組み合わせで使われるかたち。
「死」、振り仮名が長い「し」にみえますが、「しし」でしょう。
「然れ」、振り仮名「し」が、先の「死」の振り仮名「し」とほとんど同じですが、こちらは「し」ひとつ。
「廿三日」、はてこれは?となやんで、漢数字と日が付き、「十」がふたつで「十十」なので「廿」。
「間者」、助詞の「は」はたいていは「ハ」ですが、ここでは珍しく変体仮名「者」(は)です。いっけん「を」にみえますが、二文字したにある「を」と比べるとことなってます。
「あらハさゞ」、「あ」と「ハ」はわかりますが、他の三文字が悩むところ。
「那り」、「な」には変体仮名「那」(な)もあります。たびたび出てきます。
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