2021年11月26日金曜日

桃山人夜話巻三 その17

P10前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

右エ門ハいつとなく毛の志りと成 多り登て人\/ 尓

ゑもん           奈り    ひと

えもんはいつとなくものしりとなりたりとてひとびとに


毛て者やされ多り其 後 京  尓始  天芝  居をも

        そのゝちけ う 者じめ 志者゛ゐ

もてはやされたりそののちきょうにはじめてしば いをも


て者やせし可゛浪華 与り竹 田 出 雲といへる志者゛

       奈尓ハ  多け多゛いづも   

もてはやせしがなにわよりたけだ いずもといえるしば


ゐ越此 淡 路へも持 来 り天十 日可゛本ど興 行  せし

  この阿王ぢ  もちき多  とを可    こう个゛う

いをこのあわじへももちきたりてとおかが ほどこうぎょうせし


こ路かの狸  も人 尓化  天芝 居越見 物 尓ゆき

    多ぬき ひと 者゛け し者い 个んぶつ

ころかのたぬきもひとにば けてしばいをけんぶつにゆき


(大意)

(芝)右衛門はいつのまにか物知りとなり、人々に

もてはやされた。その後、京に始めて芝居を

はやらせ人気となったが、浪速より竹田出雲という(作者)の芝居が

この淡路にもやって来て十日ほど興行した

ころ、かの狸も人に化けて芝居見物に行った(が)


(補足)

「成たり」、「成」のくずし字が4行目の「持来り天」の「来」のくずし字とそっくりです。

「人\/尓」、「ゝ」ではなく「\/」。

「毛て者やされ多り」、「毛の志り」、変体仮名「毛」(も)がともに同じかたち。

振り仮名「者じめ」でも長い「し」を使ってます。

 

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