2021年11月9日火曜日

桃山人夜話巻二 その43

 

P27 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

ミ楚゛い多゛し

みぞ いだ し


ある貧 人 の死し多るを春べきやう奈け連バつゝらに入 天

  ひんしん し                 いれ

あるひんじんのししたるをすべきようなければつづらにいれて


捨 多りしに骨 と皮 とおのづ可ら別  天白 骨 つゞらを

春て    本年 可王      王可れ 者くこつ

すてたりしにほねとかわとおのずからわかれてはっこつつづらを


破 里天おどりくる比しと楚゛

やふ

やぶりておどりくるいしとぞ


(大意)

溝出(みぞいだし)

ある貧乏人が死んだとき、葬式もあげることができなかったので、つづらに入れて

捨てたところ、骨と皮がしぜんとわかれて白骨がつづらを

破って踊り狂ったということだ。


(補足)

 原画はもちろん彩色されています。白壁とつづらの(画像では白くみえているところ)縁まわりの色が同色で、薄く淡い桃色です。気味悪さが伝わってくる色です。しかしつづらの蓋を破って顔をだしている髑髏はどこかひょうきん。

 変体仮名を学び始めた頃は、変体仮名「王」(わ)と変体仮名「里」(り)を間違えることはそれほどなかったのですが、最近はアレッとおもうことたびたびであります。

「くる比し」、変体仮名「比」(ひ)。

「溝出」の題名がどうもひっかかりますけどわかりません。


0 件のコメント:

コメントを投稿