2024年2月28日水曜日

九替十年色地獄 その33

P16P17 国文学研究資料館蔵

P16

(読み)

中 でもとうらく奈

なかでもどうらくな


女 郎 ハいろとさけと

じょろうはいろとさけと


くらひもの尓

くらいものに


志んしやうを

しんしょうを


いれあけもの日の

いれあげものびの


ミあ可゛りへ八重可り

みあが りへやえがり


のそん里やう可

のそんりょうが


つもり\/ てつまら

つもりつもりてつまら


奈く奈りこふくや

なくなりごふくや


こまものやそん

こまものやそん


里やうやきのしや

りょうやきのじや


まで尓可しやく

までにかしゃく


せられ可んの

せられかんの


うちても

うちでも


すつ者多゛可で

すっぱだ かで


いるこれを

いるこれを


者川可んぢごくと

はっかんじごくと


いふ

いう

(大意)

 なかでも道楽な女郎は、色と酒と食い物にすっかり入れあげ、物日の身上がりや積もりつもった損料で、どうしようもなくなった。呉服屋・小間物屋・損料屋・喜の字屋までに責め立てられ、寒の内でも素っ裸でいる。これを八寒地獄という。

(補足)

「中」、「ゆ」に見えるのは、筆順が同じだからでしょう。

「もの日」、五節句やその他特別な祝いの日。廓では紋日(もんび)ともいう。

「ミあ可゛り」、『みあがり 【身上がり・身揚がり】

遊女が自分から抱え主へその日の揚げ銭を払って休むこと。金のない情人と会うためにする場合が多い。「此三年が間の―買ひ懸り済させて」〈浮世草子・好色一代男7〉』

「そん里やう」、『そんりょう ―れう【損料】

衣服・道具などを借りたとき,使用料として支払う金銭』

「そん里やうや」、『そんりょうや ―れう―【損料屋】

料金をとって衣服・夜具・器具などを貸す商売。また,その商売の人』

「きのしや」、『きのじや 【喜の字屋】

① 吉原の遊郭内で,「台の物」と呼ばれる料理の仕出し屋の通称。享保(1716〜1736)年中,喜右衛門という者が評判をとったことに由来するという。「―の名も高く」〈洒落本・遊子方言〉』

「者川可んぢごく」、『はちかんじごく ―かんぢごく【八寒地獄】

〘仏〙 寒さに苦しめられる八種の地獄。すなわち,頞部陀(あぶだ)・尼剌部陀(にらぶだ)・頞唽陀(あせちだ)・臛臛婆(かかば)・虎虎婆(ここば)・嗢鉢羅(うはら)・鉢特摩(はどま)・摩訶鉢特摩(まかはどま)の称。氷の地獄』

 この頁の人物や物品・建具などの輪郭が太めでくっきり彫られていて鮮明です。

 

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