P14 国文学研究資料館蔵
(読み)
ちく
ちく
しやう
しょう
とうの
どうの
くるしミハ
くるしみは
ふりそで
ふりそで
志んぞうの
しんぞうの
ミのうえ尓
みのうえに
ありさし
ありざし
きでハきやく
きではきゃく
尓ミへとこの
にみえとこの
内 へ者い川て
うちへはいって
ミると馬 の
みるとうまの
やうなきやく
ようなきゃく
多び\/
たびたび
ある事 也
あることなり
これら尓も
これらにも
志ん本うして
しんぼうして
あハ年ハ奈ら須
あはねばならず
そのくるしミ
そのくるしみ
ふて尓のへ可多し
ふでにのべがたし
(大意)
畜生道(遊郭で働くものたち)の苦しみは、振袖新造の身の上にある。座敷では客に見えるが、床のうちに入ってみると、馬のような(巨根の持ち主の)客がたびたびあるのである。これらにも辛抱して会わねばならず、その苦しみは筆だけで述べるのは難しい。
(補足)
「馬」のくずし字は「マ」につづけて「る」のようなかたち。
「事」のくずし字は「る」。
「也」のくずし字は1,2画目が短い横棒で、3画目だけ強調するように「し」。
「ふて尓のへ可多し」、濁点が全部省略されていて、一読では???
春画では男女の性器が強調されて迫力満点なのですが、さすがここは黄表紙ですから寝床には馬そのものでした。しかしそれではものたらぬと見た京伝、首から上は鼻のでかい旦那に仕上げました。鼻の大きな男は巨根の持ち主だという俗信です。
ところで、司馬江漢の江漢西遊日記に、遊郭の記述がかなりあります。西へ旅しながらひなびた宿に泊まるのですが、こんな数件の旅籠宿でも遊女がいると、なかば呆れなかば嘆いています。
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