P8P9 国文学研究資料館蔵
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(読み)
「又 可多て尓ハ
またかたてには
玉 子やきの
たまごやきの
四角 をふ多
しかくをふた
ちや王ん尓
ちゃわんに
入 てもち給 ふ
いれてもちたもう
これ女 郎 の
これじょろうの
まことといふ
まことという
ミせ可け奈り
みせかけなり
「又 此 志んそう
またこのしんぞう
本゛さつもあん
ぼ さつもあん
まりきやくを
まりきゃくを
ふるときハ
ふるときは
やりて可゛大
やりてが だい
こく者しらへ
こくばしらへ
由ハへつけ
ゆわへつけ
志んそう
しんぞう
本゛さつきやく
ぼ さつきゃく
しろこん
しろこん
里 うとぞ
りゅうとぞ
志可り个る
しかりける
(大意)
また片手には、四角く焼いた玉子焼きを蓋茶碗に入れて持ってくださっている。これは女郎にも誠はあるのだぞという見せかけである。
また、この新造菩薩もあんまり客を断っていると、遣手婆が新造を大黒柱へ結わえ付け、新造菩薩客をとれ建立と、叱るのである。
(補足)
「玉子やきの四角をふ多ちや王ん尓入てもち給ふこれ女郎のまこと」、明和五年(1768)十一月作詞:初代 桜田治助 作曲:富士田吉治・杵屋作十郎の吉原雀という長唄のなかに『女郎の誠と玉子の四角 あれば晦日に月も出る』とあります。意味は歌詞のそのままで、女郎に誠があり四角い玉子があったなら、晦日(みそか)に月が出てしまうと、そんなことはありゃしない。
部屋の縁に立つ、新造菩薩。右手に鉄棒(金棒を引き鳴らして大声で「火の用心」などと町中にふれあるくところから) ちょっとしたうわさを大げさに言い、ふれあるく人)、左手に四角い玉子焼きを入れた茶碗を持ち、説明がないと意味がわかりません。
どの着物の柄も、大きな花のようにみえます。
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