P10 国文学研究資料館蔵
(読み)
「此 川 を王多れハ
このわかをわたれば
それ\/の
それぞれの
き里やう尓て
きりょうにて
中 三 尓も
ちゅうさんにも
遍やもち尓も
へやもちにも
志んさう尓も
しんぞうにも
奈る奈り
なるなり
「王つ
わっ
ちやァ
ちゃあ
ミ川゛あげハ
みず あげは
いやで
いやで
ざんす
ざんす
本うい
ほぉい
\/
ほぉい
於めへの
おめえの
つらの
つらの
可ハも
かわも
とん多゛
とんだ
あつい
あつい
可ハ多゛ぞ
かわだ ぞ
於しい
おしい
もの多゛
ものだ
きん
きん
ちゃく尓
ちゃくに
ぬつて
ぬって
もら
もら
ハふ
おう
(大意)
この川を渡れば、それぞれの器量で、中三(昼三)にも部屋持ちにも、新造にもなれるのだ。
「わっちゃぁ、水揚げは嫌でざんす。ほういほうい」
「おめえの面の皮も、とんだ厚い皮だぞ。惜しいものだ。(この皮で)巾着に縫ってもらおう」
(補足)
脚をハの字に広げ、女郎に詰め寄り面の皮を剥がそうとする遣手婆の「志ぶい可保」、こりゃ怖い、「本うい\/」と泣いてしまうな。
この遊女の着物柄は桔梗のようです。「永遠の愛」「誠実」という意味があるそうで、前頁「新造菩薩」をうけての着物柄でしょうか。
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