2024年2月17日土曜日

九替十年色地獄 その22

P10 国文学研究資料館蔵

(読み)

「此 川 を王多れハ

 このわかをわたれば


それ\/の

それぞれの


き里やう尓て

きりょうにて


中  三 尓も

ちゅうさんにも


遍やもち尓も

へやもちにも


志んさう尓も

しんぞうにも


奈る奈り

なるなり


「王つ

 わっ


ちやァ

ちゃあ


ミ川゛あげハ

みず あげは


いやで

いやで


ざんす

ざんす


本うい

ほぉい


\/

ほぉい


於めへの

おめえの


つらの

つらの


可ハも

かわも


とん多゛

とんだ


あつい

あつい


可ハ多゛ぞ

かわだ ぞ


於しい

おしい


もの多゛

ものだ


きん

きん


ちゃく尓

ちゃくに


ぬつて

ぬって


もら

もら


ハふ

おう

(大意)

 この川を渡れば、それぞれの器量で、中三(昼三)にも部屋持ちにも、新造にもなれるのだ。

 「わっちゃぁ、水揚げは嫌でざんす。ほういほうい」

「おめえの面の皮も、とんだ厚い皮だぞ。惜しいものだ。(この皮で)巾着に縫ってもらおう」

(補足)

 脚をハの字に広げ、女郎に詰め寄り面の皮を剥がそうとする遣手婆の「志ぶい可保」、こりゃ怖い、「本うい\/」と泣いてしまうな。

 この遊女の着物柄は桔梗のようです。「永遠の愛」「誠実」という意味があるそうで、前頁「新造菩薩」をうけての着物柄でしょうか。

 

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