2024年2月9日金曜日

九替十年色地獄 その14

P6P7 国文学研究資料館蔵

P6

(読み)

於可ミさんといふ可゛つきそひ

おかみさんというが つきそい


ゐる於尓の女  本う尓ハきしん

いるおにのにょうぼうにはきじん


といへとゑてハこの於可ミさんと

といへどえてはこのおかみさんと


いふや川ていし由大 王 より

いうやつていしゅだいおうより


む年き奈もの尓てつ年尓

むねきなものにてつねに


王可゛飛ざもと尓

わが ひざもとに


飛る袮可む者奈と

ひるねかむはなと


いふ二 人の

いうふたりの


ものをつけ

ものをつけ


於き多れ

おきだれ


さんハこの

さんはこの


ころぢいろ可゛

ごろじいろが


でき多の

できたの


多゛れさんハ

だ れさんは


よくきやく

よくきゃく

(大意)

(またそばに、)おかみさんというのが付き添っている。鬼の女房には鬼神といえども、えてして、このおかみさんというやつは亭主大王よりたちが悪い。つねにわが膝元に、昼寝・かむ鼻という二人のものをそばに置き、誰かさんはこの頃、情夫ができたとか、誰かさんはよく客(人を振るとか、)

(補足)

「む年き」、『むねき【胸気】不愉快なこと。気にさわること。また,そのさま。むなけ。「誰だつて余り―な事を云はれるとぐうつと癪に触つて」〈くれの廿八日•魯庵〉』

「二人のものをつけ於き多れさんハこのころぢいろ可゛でき多の多゛れさんハ」、「多れさん」と「多゛れさん」が「誰かさん」とわかるまで、区切りがわかりませんでした。

「ぢいろ可゛」、『【地色】② 花街の女が情夫にした土地の男。「どうだ,―でもできたか」〈洒落本・辰巳之園〉③ 素人娘との色事。「いや,おらは―はきらいだ。比丘尼(びくに)がええ」〈咄本・聞上手〉』

「飛る袮可む者奈」、地獄閻魔の庁にいるとされる「見る目・嗅ぐ鼻」のひっかけ。昼寐(ひる袮)・かむ鼻(者奈)の髪型が特徴的です。ちょっと沖縄風。

 

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