P11 国文学研究資料館蔵
(読み)
「これ可ら名 代
これからみょうだい
ミちへ与こ尓
みちへよこに
由こふ可いや\/
ゆこうかいやいや
さしきの
ざしきの
者つきやく
はつきゃく
し由もいゝ
しゅもいい
於とこ多゛志可し
おとこだ しかし
きやくいろの
きゃくいろの
本うへ行かふ可
ほうへゆこうか
多ゞし
ただし
あふミやの
おうみやの
きやくし由の
きゃくしゅの
本うへ行かふ可と
ほうへゆこうかと
うハき尓て
うわきにて
き可゛於ゝき由へ
きが おおきゆえ
らう可を
ろうかを
由きつもとりつ
ゆきつもどりつ
するこれを
するこれを
六 多゛うの
ろくど うの
つぢ尓まよふとハ
つじにまようとは
申 奈り
もうすなり
(大意)
「これから、名代(みょうだい)の道へ横へゆこうか。いやいや座敷の初の客もいい男だ。しかし、色の客(好きな情人)のほうへ行こうか。それとも、近江屋の客のほうへ行こうか」と、あれこれうつり気で気がおおいため、廊下を行きつ戻りつする。これを六道の辻に迷うと申す。
(補足)
「多ゞし」、現在は「しかし。だが」の意味がほとんどですが、ここでは『④ それとも。あるいは。ただしは。「酒が飲れぬか,せめてひとり成とも出ぬか,―かへれといふ事か」〈浮世草子・好色一代女〉』
「名代の客道」、好きでもない客を新造や仲間に接待をまかせる部屋への道。
「行」のくずし字は特徴的ですけど何だっけと悩むこともある漢字。「ヽ」をうって重ねるように「し」、右に流れて「了」。
「らう可を由きつもとりつする」花魁、脚は前、腰は横、顔は後ろ向きと心の中を描くのがうまい。
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