2024年2月19日月曜日

九替十年色地獄 その24

P11 国文学研究資料館蔵

(読み)

「これ可ら名  代

 これからみょうだい


ミちへ与こ尓

みちへよこに


由こふ可いや\/

ゆこうかいやいや


さしきの

ざしきの


者つきやく

はつきゃく


し由もいゝ

しゅもいい


於とこ多゛志可し

おとこだ しかし


きやくいろの

きゃくいろの


本うへ行かふ可

ほうへゆこうか


多ゞし

ただし


あふミやの

おうみやの


きやくし由の

きゃくしゅの


本うへ行かふ可と

ほうへゆこうかと


うハき尓て

うわきにて


き可゛於ゝき由へ

きが おおきゆえ


らう可を

ろうかを


由きつもとりつ

ゆきつもどりつ


するこれを

するこれを


六 多゛うの

ろくど うの


つぢ尓まよふとハ

つじにまようとは


申  奈り

もうすなり

(大意)

 「これから、名代(みょうだい)の道へ横へゆこうか。いやいや座敷の初の客もいい男だ。しかし、色の客(好きな情人)のほうへ行こうか。それとも、近江屋の客のほうへ行こうか」と、あれこれうつり気で気がおおいため、廊下を行きつ戻りつする。これを六道の辻に迷うと申す。

(補足)

「多ゞし」、現在は「しかし。だが」の意味がほとんどですが、ここでは『④ それとも。あるいは。ただしは。「酒が飲れぬか,せめてひとり成とも出ぬか,―かへれといふ事か」〈浮世草子・好色一代女〉』

「名代の客道」、好きでもない客を新造や仲間に接待をまかせる部屋への道。

「行」のくずし字は特徴的ですけど何だっけと悩むこともある漢字。「ヽ」をうって重ねるように「し」、右に流れて「了」。

 「らう可を由きつもとりつする」花魁、脚は前、腰は横、顔は後ろ向きと心の中を描くのがうまい。

 

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