P4P5 国文学研究資料館蔵
P4
(読み)
此 いろちこくへ於ちるものゝ者じめを
このいろじごくへおちるもののはじめを
多づぬる尓身をすてるやぶさへ
たずぬるにみをすてるやぶさへ
志らぬびん本゛う人 の娘 尓て
しらぬびんぼ うにんのむすめにて
志者ゐてもするとをり
しばいでもするとおり
ゑてハ於や者ら可らの
えてはおやはらからの
多め尓志つミし
ためにしずみし
こひのふち尓んじん
こいのふちにんじん
のミか王り尓此 いろじ
のみがわりにこのいろじ
こくへおちる事 尓て
ごくへおちることにて
うら連て行 ときハ
うられてゆくときは
四鳥(して う)の王可れ尓
しちょう のわかれに
ひとしく多とへて
ひとしくたとえて
(大意)
この色地獄に落ちる者のきっかけというと、身を捨てるところさえ知らぬ貧乏人の娘が、芝居にもある通り、よくあるはなしである。親・兄弟姉妹のために廓の深い淀みに沈み、人の身代わりになって、この色地獄へ落ちるのである。売られて行くときは、まさに『四鳥の別れ』のようであり、たとえて言えば
(補足)
「娘」のくずし字がなんとなく変です。
「ゑてハ於や者ら可らの」、読めてもどこで区切ったらよいものか・・・
「於や者ら可らの多め尓志つミしこひのふち」、長唄『もみぢ葉』寛保四年(1744)作詞 不明 作曲初代杵屋新右衛門。「こ」は変体仮名「己」でしょうか。この『もみぢ葉』の歌詞を読むと、京伝のこの黄表紙がいくらか影響されているのがわかります。
「尓んじん」、「人参」ではなく「人身」です。
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