2024年2月4日日曜日

九替十年色地獄 その9

P4P5 国文学研究資料館蔵

P4

(読み)

此 いろちこくへ於ちるものゝ者じめを

このいろじごくへおちるもののはじめを


多づぬる尓身をすてるやぶさへ

たずぬるにみをすてるやぶさへ


志らぬびん本゛う人 の娘  尓て

しらぬびんぼ うにんのむすめにて


志者ゐてもするとをり

しばいでもするとおり


ゑてハ於や者ら可らの

えてはおやはらからの


多め尓志つミし

ためにしずみし


こひのふち尓んじん

こいのふちにんじん


のミか王り尓此 いろじ

のみがわりにこのいろじ


こくへおちる事 尓て

ごくへおちることにて


うら連て行 ときハ

うられてゆくときは


四鳥(して う)の王可れ尓

   しちょう のわかれに


ひとしく多とへて

ひとしくたとえて

(大意)

 この色地獄に落ちる者のきっかけというと、身を捨てるところさえ知らぬ貧乏人の娘が、芝居にもある通り、よくあるはなしである。親・兄弟姉妹のために廓の深い淀みに沈み、人の身代わりになって、この色地獄へ落ちるのである。売られて行くときは、まさに『四鳥の別れ』のようであり、たとえて言えば

(補足)

「娘」のくずし字がなんとなく変です。

「ゑてハ於や者ら可らの」、読めてもどこで区切ったらよいものか・・・

「於や者ら可らの多め尓志つミしこひのふち」、長唄『もみぢ葉』寛保四年(1744)作詞 不明 作曲初代杵屋新右衛門。「こ」は変体仮名「己」でしょうか。この『もみぢ葉』の歌詞を読むと、京伝のこの黄表紙がいくらか影響されているのがわかります。

「尓んじん」、「人参」ではなく「人身」です。

 

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