2024年2月6日火曜日

九替十年色地獄 その11

P4P5 国文学研究資料館蔵

P5

(読み)

可の川 柳  和尚  の

かのせんりゅうおしょうの


う多尓

うたに


「こう\/尓うられ

 こうこうにうられ


ふこう尓うけ出され

ふこうにうけだされ


とハむへ奈る可奈\/

とはむべなるかなむべなるかな


アゝ奈むや本゛だ

ああなむやぼ だ


ふつ\/

ぶつなむやぼだぶつ


「ふ多り可゛奈ミ

 ふたりが なみ


だの於ちる

だのおちる


於と本゜た\/

おとぽ たぽた


\/\/

ぽたぽた


本゜多り

ぽ たり


\/

ぽたり

(大意)

かの川柳和尚の歌に

「孝行に売られ不孝に請け出され」とあるが、もっともなことであるぞ、もっともであるな。あぁ、南無野暮陀仏なむやぼだぶつ。

「ふたりの涙の落ちる音。ぽたぽたぽたぽた、ぽたりぽたり。

(補足)

「孝行に売られ不孝に請け出され」、貧乏な家の娘が親『孝行』のために廓へ『売られ』、客は親『不孝』を重ね廓通いで散財し、ついには遊女を『請け出す』。

「ふ多り可゛奈ミだの於ちる於と」、ここは芝居の二番目の狂言(しんみりした風情の世話物狂言の場面から始まる)のように、たいていは舞台全体が薄暗い中、ほのかに灯りがともるあばら家が舞台。

「本゜た\/\/\/本゜多り\/」、半濁点「゜」があります、「゛」よりは目にする頻度は小さそうです。

 二人して泣きくれる家の様子は、とても貧乏所帯には見えません。庭に出るための踏み石のそばの土壁が一部剥げ落ちていますが、これは土壁を絵にするときのおきまりで、他の部分に目をやると、なかなかの小洒落たおうちです。

 

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