P4P5 国文学研究資料館蔵
P5
(読み)
可の川 柳 和尚 の
かのせんりゅうおしょうの
う多尓
うたに
「こう\/尓うられ
こうこうにうられ
ふこう尓うけ出され
ふこうにうけだされ
とハむへ奈る可奈\/
とはむべなるかなむべなるかな
アゝ奈むや本゛だ
ああなむやぼ だ
ふつ\/
ぶつなむやぼだぶつ
「ふ多り可゛奈ミ
ふたりが なみ
だの於ちる
だのおちる
於と本゜た\/
おとぽ たぽた
\/\/
ぽたぽた
本゜多り
ぽ たり
\/
ぽたり
(大意)
かの川柳和尚の歌に
「孝行に売られ不孝に請け出され」とあるが、もっともなことであるぞ、もっともであるな。あぁ、南無野暮陀仏なむやぼだぶつ。
「ふたりの涙の落ちる音。ぽたぽたぽたぽた、ぽたりぽたり。
(補足)
「孝行に売られ不孝に請け出され」、貧乏な家の娘が親『孝行』のために廓へ『売られ』、客は親『不孝』を重ね廓通いで散財し、ついには遊女を『請け出す』。
「ふ多り可゛奈ミだの於ちる於と」、ここは芝居の二番目の狂言(しんみりした風情の世話物狂言の場面から始まる)のように、たいていは舞台全体が薄暗い中、ほのかに灯りがともるあばら家が舞台。
「本゜た\/\/\/本゜多り\/」、半濁点「゜」があります、「゛」よりは目にする頻度は小さそうです。
二人して泣きくれる家の様子は、とても貧乏所帯には見えません。庭に出るための踏み石のそばの土壁が一部剥げ落ちていますが、これは土壁を絵にするときのおきまりで、他の部分に目をやると、なかなかの小洒落たおうちです。
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