P14 国文学研究資料館蔵
(読み)
「又 ことハら
またことわら
連る可
れるか
馬 \/しひ
うまうましい
「あのきやく人 ハきりの
あのきゃくじんはぎりの
あるの多志ん本゛うし
あるのだしんぼ うし
奈せへ
なせえ
「者゛可らしひ
ば からしい
ざしきでハ
ざしきでは
人 のやう多゛可゛
ひとのようだ が
とこの内 てハ
とこのうちでは
馬 多ものを
うまだものを
どうして
どうして
あ王れるもの可
あわれるものか
「きやく人 ハ馬
きゃくじんはうま
於めへハ
おめえは
あし可
あしか
こゝの
ここの
二可いへ
にかいへ
个多゛もの
けだ もの
ミせを
みせを
多゛し多
だ した
やう多゛
ようだ
(大意)
「また、ことわられるか、うまうましい」
「あの客人には義理があるのだ。辛抱してくれ」
「馬鹿らしい。座敷では人のようだが、床のなかでは馬のようなものを、どうして会わなくちゃいけないのか」
「客人は馬、お前はあしか、ここの二階に獣(けだもの)の店を出したようじゃないか」
(補足)
「馬\/しひ」、もちろん「いまいましい」のしゃれ。
「於めへハあし可」、若い新造はよく居眠りをするので、アシカにたとえられていたとありました。
角のある若い者がなだめてます。左手に持つのは酒の提子(ひさげ)ではなく、座敷を見回りながら行灯などに灯油を注ぐ油差しとものの本にはありました。左下隅に箱膳の脇におなじ形のものが見えています。
禿から新造になったばかりで経験も浅いため、客の馬並みをみて驚き泣く姿はお手の物、うまいです。
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