P6P7 国文学研究資料館蔵
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(読み)
さて可の於尓のやうなせ个゛ん尓
さてかのおにのようなぜげ んに
いさ奈ハれいろぢこくのあるじ
いざなわれいろじごくのあるじ
ないしやうのていし由大 王 のまへゝ
ないしょうのていしゅだいおうのまえへ
出れハま川゛志゛やうツ者゜りの
でればまず じ ょうっぱ りの
かゞミといふ尓うつし者奈すじ可
かがみというにうつしはなすじが
とをる可とをらぬ可ミの志奈へ可゛
とおるかとおらぬかみのしなへが
よい可王るひ可をミさ多゛めよび多゛し
よいかわるひかをみさだ めよびだ し
つけま王し中 三 遍やもちまハり
つけまわしちゅうさんへやもちまわり
とそれ\/のつミをきハめる
とそれぞれのつみをきわめる
かゝミ奈りぢごくのさ多も
かがみなりじごくのさたも
可本志多゛い奈り又 そハ尓
かおしだ いなりまたそばに
(大意)
さて、かの鬼のような女衒(ぜげん)に連れてゆかれ、色地獄の主である、居間に控える亭主大王の前へ出れば、まず、(浄玻璃(じょうはり)の鏡ならぬ)情っ張り(じょうっぱり)の鏡というものに写し、鼻筋が通っているか通っていないか、身のこなしが美しいか悪いかを見定める。それによって、呼出し・付廻し・中三・部屋持・廻りと、それぞれの罪を見極める鏡なのである。地獄の沙汰も顔次第である。またそばに、
(補足)
「志奈へ」、「しな・う しなふ【撓う】〔「しなやか」の「しな」と同源〕③ しなやかに美しい姿である」
「呼出し・付廻し・中三・部屋持・廻り」、大見世(高級遊女屋)の遊女の階級。吉原最高級の遊女が「呼出し」、新造付きで揚代は金一両一分。「中三(昼三)」は昼夜通しで三分。昼または夜だけの片仕舞は一分二朱。「付廻し」は昼夜をとわず二分(一両の半分)。「部屋持」は座敷持ちの遊女で一分。「廻り」は自分の部屋はなく共用の廻し部屋で最下級の女郎。とものの本にはありました。
情っ張り(じょうっぱり)の鏡はもちろん閻魔大王が持つ浄玻璃(じょうはり)の鏡の
しゃれです。その鏡なんとも黒漆の立派なこしらえです。細かいなとおもうのが、鏡の手持ちの部分の支えの隙間の向こうに着物の柄をちゃんと描いているところ。
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