2019年2月7日木曜日

変事出来二付心得覚記 その84




 P.32 最初〜5行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
申  事 ゆへ御噺 し仕    候   、滝 之助 殿
もうすことゆへおはなしつかまつりそうろう、たきのすけどの

申  様 、下 名栗 浅 海 戸二も何 二も
もうすさま、しもなぐりあさかいどにもなににも

最早 可満王ぬ勝 手次第 に
もはやかまわぬかってしだいに

打 古王す遍し、今 者゛ん二も
うちこわすべし、こんば んにも

御用 向 参 り候   共 構  不申  候   間  、
ごようむきまいりそうろうともかまいもうさずそうろうあいだ、


(大意)
申すことでしたので、お話したまでのことでございます。滝之助殿
が言うには、下名栗だろうか浅海戸だろうがどこだろうが
もうかまわぬから好き勝手に
打ちこわしでもなんでもやってくれ、今晩にでも
御用の役人たちがやって来ようと、そんなのは構わないから


(補足)
 書き出しの最初から4行目までとそれ以降が明らかに筆跡が異なります。
P.28,P.29あたりの筆跡と同じです。

 下書きを書いておいて、いろいろな用事で出かけなければならない源左衛門さんに頼まれて家族たちが清書していたのでしょうか。
流れるような読みやすい美しい筆跡です。

 いよいよ滝之助さんの大立腹は頂点に達し、メラメラ激しく燃え上がりまくります。

「最早」、「最」=「日」+「取」、くずし字が楷書のようにわかりやすい。
「可満王ぬ」「打古王す遍し」「今者゛ん」、変体仮名と平仮名。「今」が楷書体。



2019年2月6日水曜日

変事出来二付心得覚記 その83




 P.31 5行目〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
滝 之助 殿 申  様 、
たきのすけどのもうすさま、

小前 二割 附いたさ連、其 外 触 下  迄
こまえにわりふいたされ、そのほかふれくだすまで

手入 いたされる二おき帝ハ、何 も
ていれいたされるにおきては、なにも

名主 ハいらぬ事 ゆへ、此 事 済 次第
なぬしはいらぬことゆへ、このことすみしだい

退 役 二およひ、誰 二而も名主 可致   候   、
たいえきにおよび、だれにてもなぬしいたすべきそうろう、

松 太郎 申  様 、下 名栗 可゛取 極 たと (申  事 ゆへ)
まつたろうもうすさま、しもなぐりが とりきめたと、(もうすことゆへ)


(大意)
滝之助殿が言うには、
小前百姓が文書を作り、その上その触れを下し
自分たちで勝手に動き回ることをされるに及んでは、もう何も
名主はいらぬではないか、今回のことが済んだら
わたしは名主を退き、誰でも良いから名主を致されればよかろう。
松太郎が言うには、下名栗が取り決めたこと(なので)


(補足)
「小前に割符」〜「おき帝ハ」までが、??です。
前後の話のつながりから、脚色してみました。いつもながらフィクションかも。

「い多さ連」「以多さ連る事ニおき帝ハ」「いらぬ事ゆへ」、平仮名・変体仮名が続いています。
「触」、「角」+「虫」ですが、教えてもらわないと読めません。

「済次第」、「済」を古文書小辞典で調べるとなるほど同じようなくずし字がありました。どうしてこのような形になるのでしょう。形で覚えるしかなさそう。

 滝之助さん、まだまだ怒り狂っている場面が続きます。



2019年2月5日火曜日

変事出来二付心得覚記 その82




 P.31 最初〜5行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
名主 滝 之助 殿 申  様 、外々之者 ハ
なぬしたきのすけどのもうすさま、よそのものは

どふたと申  候  ハヽ、是 ハ小前 二而
どうだともうしそうらわば、これはこまえにて

直 掛 合 違変 あ連者゛打 毀
じかかけあいいへんあれば うちこわし

申  聞 セ、此 度 之事 ハ名主 村 役 人
もうしきかせ、このたびのことはなぬしむらやくにん

に盤掛 不申  候   、
にはかけもうさずそうろう、


(大意)
名主の滝之助殿が、よその者たちは
どうなのだというので、これは小前百姓が
直接(村役人と)交渉したもので、約束を守らなければ打ち壊すと
言っております。かように、この度のことは村役人たちには
相談しなかったことでございます。


(補足)
 筆の太さがやや太くなりましたが、やはり平仮名や変体仮名がめだちます。

「外々」、「外」を強調しているのでしょうか。

「直掛合」(じかかけあい)。「直談判」(じかだんぱん)という言葉があるので、(じか)
にしましたが、まちがっているかもしれません。

「違変」、このまま形で覚えたほうがよさそうです。
「あ連者゛」(あれば)、変体仮名。

「申聞セ」、「聞」のくずし字が筆順も形もとてもよくわかります。
「に盤」(には)、この部分の書き手はこの「盤」(は)をよく使っています。



2019年2月4日月曜日

変事出来二付心得覚記 その81




 P.30 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
金 弐千 両   滝 之助
きんにせんりょう たきのすけ

金 弐千 両   伴 次郎
きんにせんりょう はんじろう

金 千 両   代 八
きんせんりょう だいはち

金 千 両   幸 次郎
きんせんりょう こうじろう

都合 九  千 両
つごうきゅうせんりょう

 外 二質 物 者不残  可返   候   、
 ほかにしちものはのこらずかえすべきそうろう、

  證  文 金 質 物 二准  し、
  しょうもんきんしちものにじゅんし、

  小作 金 者是 迄 分 帳  消 、
  こさくきんはこれまでぶんちょうけし、

  地面 者本 金 二而可返   筈
  じめんはほんきんにてかえすべきはず



(大意)
金弐千両 滝之助
金弐千両 伴次郎
金千両  代八
都合九千両

他に質物は残らず返すこと
証文金は質物に準ずる
小作金はこれまでの分は帳消し
(これまでの買い受けた)土地は元金にて返す約束とする


(補足)
頁が変わって、金額が続きます。
「千」、ここの「千」は前頁のとは異なり、ちゃんと「千」と読めます。
「両」も楷書です。

「都合」、「阝」の縦棒がなく下の方に横棒です。
「両」、いつものくずし字です。

「質物」が2度続きます。「質」には旧字(俗字)で「貭」がありますが、これは?。古文書小辞典で調べると、同じくずし字がのっていました。
「證」、「証」の旧字。

「作」のくずし字は特徴的で目立ちます。
「分」、「彡」+「、」
「筈」、ここでは「約束を果たす」「約束」でしょうか。

 以前の都合2万両の書付内容とは異なってます。
松太郎はあわてふためいたことでしょう。

 そうそう、前ページの一つ書きのところから、書き手が変わったような気がしました。

2019年2月3日日曜日

変事出来二付心得覚記 その80




 P.29 7行目〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
一   其 座に居合 せ申  候   者 申  様 ハ、
ひとつ そのざにいあわせもうしそうろうものもうすさまは、

夫 ハ如何 之訳ケと申  候  ハヽ、松 太郎
これはいかがのわけともうしそうらわば、まつたろう

申  様 、書 付 ハ
もうすさま、かきつけは

金 三 千 両   源 左衛門
きんさんぜんりょう げんざえもん


(大意)
ひとつ その座に居合わせた村役人たちがそろって言うには、
これは一体どういう訳なんだというので、松太郎が
書付の内容を説明した。

金三千両 源左衛門


(補足)
 一つ書きが急にあらわれました。どういうことなんでしょうか、不明です。

「如何」、頻出です。2点セットで覚えているつもりですが、まごつくことも多いです。

「三千両」、「千」が書き順の関係でどうしても「子」に見えてしまいます。

 松太郎が、村役人の前で、額に汗シドロモドロ状態なのが目に浮かびます。
そんな様子はこのあともしばらく続きます。


2019年2月2日土曜日

変事出来二付心得覚記 その79




 P.29 最初〜6行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
いたし候   哉と松 太郎 申  候   、
いたしそうろうやとまつたろうもうしそうろう、

滝 之助 殿 ・太次郎 殿 ・清 八 どの
たきのすけどの・たじろうどの・せいはちどの

申  様 、誰 も参 り不申  と申  候  ハヽ、
もうすさま、だれもまいりもうさずともうしそうらわば、

松 太郎 申  様 、是 もけしからぬ
まつたろうもうすさま、これもけしからぬ

者 共 あ連程 書 付 を御目ニ
ものどもあれほどかきつけをおめに

掛ケ帝と申  候   に
かけてともうしそうろうに


(大意)
したでしょうかと松太郎が述べた。
滝之助殿・太次郎殿・清八どの
が誰も来なかったというので
松太郎は、それはけしからん連中です。
あれほど(事前に)書付をお見せしてからと
いい含めておいたのに、と述べた。


(補足)
平仮名や変体仮名が目立ちます。やはり書き手は女性のようです。

「参り」「あ連程」のところに重ね書きのように筆が太くなってしまっているとことがありますが、
揚げ足取りではなく、なんだかホッとします。当時の人もうっかり書き損じしているんですね。

 今も昔も癖字やくずしすぎの字には苦労します。
こちらの書き手のようにきれいな美しい筆跡ならば、古文書も苦労なく鑑賞しながら楽しく読めるのにと思ってしまいます。


2019年2月1日金曜日

変事出来二付心得覚記 その78




 P.28 6行目〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
外 江参 り候  ハヽ、書 付 ヲ認   私   江
そとへまいりそうらわば、かきつけをしたためわたくしへ

見せ候   間  、御当 家へ持参 致
みせそうろうあいだ、ごとうけへじさんいたし

御目二掛ケ、其 上 下 筋 江持 行
おめにかけ、そのうえしもすじへもちゆく

よふにと申  候   間  、書 付 持参
ようにともうしそうろうあいだ、かきつけじさん


(大意)
でかけてきましたが、いただいた書付を私へ
見せ読んでみました。(小前百姓へ名主様の)御当家へ持って行き
内容に目を通していただきその上で、下筋へ持ってゆく
ようにと言い聞かせましたので、そのように書付を持参


(補足)
 どうやら、書付をもらった小前百姓たちと村役人との話し合いがこじれてしまい
松太郎が呼ばれたようです。

「参り」「持参」と「参」が3度でてきますが、少しずつ異なってます。
「候ハヽ」(そうらわば)、3点セットで覚えます。
「認」、「言」と「刃」が上部へ、「心」が下部へと形が変わってしまってます。

「御目に」、「目」が大きいと違う字に見えてしまう。

「下筋」、いつもながら「竹」冠が別物に見えてしまいます。
「持行」、「行」は頻出ですがいがいと難しい。

「候間」、2回出てきました。

きれいな文面が続いています。