P21 東京国立博物館蔵
(読み)
能里合ヒ能者 舩 を出サンカ\/ と口\/ 尓云 け連
のりあいのものふねをださんかださんかとくちぐちにいいけれ
ハ漸 ク舩 を出しける尓西 風 多゛ん\/剛(ツヨク)して
ばようやくふねをだしけるににしかぜだ んだん つよく して
仲 の方 より大 浪 高 く舩 の内 ニ打 込ミ
なかのほうよりおおなみたかくふねのうちにうちこみ
小倉 ハ西 ニ当 リ内裏(ダイリ)ハ少 シ南 ニあ多り風
こくらはにしにあたり だいり はすこしみなみにあたりかぜ
春こし開きなり帆ハ横 尓まかり舩 か多ふき
すこしあきなりほはよこにまがりふねかたぶき
潮 舟 の内 ニ入 屋倉(ヤクラ)尓入 多る者 ハ風呂ニ入
しおふねのうちにはいり やぐら にはいりたるものはふろにはいり
多る如 く皆 〃 死(シゝ)多る者 能如 くべ吐(ド)を者き
たるごとくみなみな しし たるもののごとくべ ど をはき
誠 尓舟 覆(クツカヘ)ランと春吾 と一 人飛脚(ヒキヤク)てゐ
まことにふね くつがえ らんとすわれとひとり ひきゃく てい
の者 年 五十 余 屋倉 上 ニ能 り向 ヒ合イ
のものとしごじゅうあまりやぐらうえにのぼりむかいあい
居 多り其 頭 の上 を浪 飛 越春故 ニ桐油(トヲユ)ヲ
おりたりそのあたまのうえをなみとびこすゆえに とうゆ を
(大意)
略
(補足)
「内裏」、大里村。
「桐油(トヲユ)」、『とうゆガッパ 【桐油ガッパ】桐油紙で作ったカッパ。桐油。』
よくもまぁ、これだけの嵐の中を出帆したものだとおもいます。船の中は風呂に入っているような状態、櫓(やぐら)の上に乗って座り、その頭上を浪がこえるのだから、恐ろしい・・・
荷物を運ぶ舟の遭難は相当数あったようで、たくさんの漂流記が残っています。
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