2025年6月3日火曜日

江漢西遊日記四 その16

P21 東京国立博物館蔵

(読み)

能里合ヒ能者 舩 を出サンカ\/  と口\/ 尓云 け連

のりあいのものふねをださんかださんかとくちぐちにいいけれ


ハ漸  ク舩 を出しける尓西 風 多゛ん\/剛(ツヨク)して

ばようやくふねをだしけるににしかぜだ んだん  つよく して


仲 の方 より大 浪 高 く舩 の内 ニ打 込ミ

なかのほうよりおおなみたかくふねのうちにうちこみ


小倉 ハ西 ニ当 リ内裏(ダイリ)ハ少 シ南  ニあ多り風

こくらはにしにあたり   だいり はすこしみなみにあたりかぜ


春こし開きなり帆ハ横 尓まかり舩 か多ふき

すこしあきなりほはよこにまがりふねかたぶき


潮 舟 の内 ニ入  屋倉(ヤクラ)尓入  多る者 ハ風呂ニ入

しおふねのうちにはいり   やぐら にはいりたるものはふろにはいり


多る如 く皆 〃 死(シゝ)多る者 能如 くべ吐(ド)を者き

たるごとくみなみな  しし たるもののごとくべ  ど をはき


誠  尓舟 覆(クツカヘ)ランと春吾 と一 人飛脚(ヒキヤク)てゐ

まことにふね  くつがえ らんとすわれとひとり   ひきゃく てい


の者 年 五十  余  屋倉 上 ニ能 り向 ヒ合イ

のものとしごじゅうあまりやぐらうえにのぼりむかいあい


居 多り其 頭  の上 を浪 飛 越春故 ニ桐油(トヲユ)ヲ

おりたりそのあたまのうえをなみとびこすゆえに   とうゆ を

(大意)

(補足)

「内裏」、大里村。

「桐油(トヲユ)」、『とうゆガッパ 【桐油ガッパ】桐油紙で作ったカッパ。桐油。』

 よくもまぁ、これだけの嵐の中を出帆したものだとおもいます。船の中は風呂に入っているような状態、櫓(やぐら)の上に乗って座り、その頭上を浪がこえるのだから、恐ろしい・・・

 荷物を運ぶ舟の遭難は相当数あったようで、たくさんの漂流記が残っています。

 

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