2025年6月4日水曜日

江漢西遊日記四 その17

P22 東京国立博物館蔵

(読み)

着(キ)て波 を正(セ ウ)写(ウツ)し尓せんとて波 能飛び

  き てなみを  しょう   うつ しにせんとてなみのとび


あかるを能ミ見しなり是 ハ酒 能酔(ヨイ)爰 ニ

あがるをのみみしなりこれはさけの  よい ここに


て發 し少 シも酔(ヨハ)春爰 尓於 て酒 ハ氣

てはっしすこしも  よは ずここにおいてさけはき


を甚  タ太 クして呑ムまじき物 なりと知り

をはなはだふとくしてのむましきものなりとしり


个り夫 故 漸  ク一 里半 内裏(ダイリ)ヘ半 時 のうち

けりそれゆえようやくいちりはん   だいり へはんときのうち


尓付 けり舩 中  働  ク者 僅(ワツカ)尓三 人 帆(ホ)を下(ヲロ)セ

につきけりせんちゅうはたらくもの  わずか にさんにん  ほ を  おろ せ


\/ と呼ヒ个連と帆尓風 をふくミ一 向 下(ヲロ)春

おろせとよびけれどほにかぜをふくみいっこう  おろ す


事 ならぬも能なり舩 尓打 込 アカをかえるも

ことならぬものなりふねにうちこみあかをかえるも


此 三 人 能ミ乗 多る者 ハ死 人の如 シ誠  尓あ

このさんにんのみのりたるものはしにんのごとしまことにあ


ヤうき事 尓逢(ア)ヒ个連夫 より岸(キシ)ニ上 リ皆 \/

やうきことに  あ いけれそれより  きし にあがりみなみな

(大意)

(補足)

「正写」、フリガナが左右にあります。

「内裏(ダイリ)」、大里村です。 

「アカ」、『ふなあか【船淦】船の底にたまった水。あか。船湯』

 浪の荒れるさまを描こうと波しぶきをあびながら、筆や画帳はビッショリにならなかったのかとおもったりもします。北斎は当時27歳、まだ「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を描いていません。

 

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